2018年12月12日

「私・毎日・毎日・行く・行く・店・ある」〜 豊かなな読み取りを目指して


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「私・毎日・毎日・行く・行く・店・ある」
ろうの人がこう手話で話したら、
あなたはどんな日本語で通訳(翻訳)しますか?

これを、「私は、毎日毎日、行っている店があります」と訳すのは、
確かに間違っちゃいないけど、
情緒もないし、もっと格調高く読める方法はいくらでもある!!
手話通訳の大先輩が、様々な場面で、
後進の皆さんにこんなお話をされているのを、よく見かけます。

あなたなら、これ、どんな日本語にしますか?

下町風、上流階級風(笑)、ホテルマンなら、労務者なら、
男性なら、女性なら、子供の言葉なら・・・
このほかいろんな立場や状況によって、
手話を読み取る、日本語の言葉遣いも変わってきます。
読み取りは、話全体の主旨や前後の流れによって、意味合いも変わってくるので、
どれが、絶対的な正解だというものもありません。

落ち着いて考えれば、もちろん私たちにも、思いつく言葉はいくつかあると思います。
でも、こんな何でもないような表現でも、緊張した通訳場面では、
とっさの言い回しが、適切に一瞬で出てくるとは限りません。
あとから、ああ言えば良かった!こう言えば良かったと、
反省がわいてくるのが、私たちの現場です。汗&笑

今、テーブルに座っているあなたが、すぐに10通り以上の言い回しを思いつけたなら、
本番でも、ある程度適切な読み取りのできる可能性があるかもしれません。
でも、2〜3パターンしか思いつかないなら、今のうちです。
ぜひ、たくさんの言い回しを書き出して、それを声にして繰り返し「話して」みてください。
日ごろから、こうして頭を使っておくことが、いざというとき役に立ちます。

また、今の説明で、私は「声にして『読む』」とは、言っておりません。
「声にして『話す』」ことを、おすすめします。

読み取りを豊かなものにするためには、
格調高いよき言葉遣いの本や、新聞を読んだりするのも大切ですが、
実は、現場で役立つものにするには、さらにその一歩先を考えることが大切です。
アナタが、アナウンサーや司会者のように、
思いついた言葉を「テンポよくすらすらと話せるかどうか」が重要なのです。
頭に浮かんだ言葉を「話せる」力。それが、あなたの読み取り能力です。

また、その時、難しい言葉を多く知っているかどうかより、
簡単な言い回しを、たくさん持っているかどうか?のほうが、
聞きやすく相手に伝えるためには、重要です。
ようは、文語調の言葉より「話し言葉」。
この話し言葉の中に、品を込めたり、あるいは乱暴に言い換えたり、
手話で話されたろうの方の話と同等の価値で、丁寧であったりタメ口であったり、
目下に話す口調であったり、尊敬語であったりすることが、
より、手話の本人らしさを表す日本語となるように思います。

その辺に着目して、手話文を日本語にしてみてください。
何でもないような話であればあるほど、
意外に、奥が深いことが感じられると思います。

手話の読み取り学習には、こうしたことも心掛けてみてください。
そして、それこそ、楽しんで、いっぱい「話して」見てください。
それは、必ずあなたの成長の糧となり、何よりろうの方の役に立てるはずです。

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ちなみに、こうしたお話の際には、必ずもう一つ説明を加えることにしています。
手話は、「出会い」と「伝えたいと思う心」が最も大切だと思います。
難しい勉強に疲れたら、
ろうの友達と通じ合ってうれしかったあの日がここにつながっているのだということを忘れずに!
うまさや上達を求める前に、話したいという気持ちを大切に。
そして、手話を学ぶということは、決して、手話通訳を目指すということとは同義語ではないと思います。
手話であろうと、英語であろうと、日本語であろうと、
ふと目を上げたとき、そこに友がいて、互いが微笑みあえること。
それが、すべての言葉の始まりだと思います。


南 瑠霞




posted by 南 瑠霞 at 17:39| 東京 ☁| 南 瑠霞(るるか)の手話日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする