2019年06月23日

チームでの交代の手話通訳!「最初に舞台に立つのは新人」


手話を勉強中の方から、質問がありました。

「 二人の手話通訳者が交互に通訳を担当するのを見ていると、ベテランの人が不慣れな人をカバーしているのがわかります。色々な手話表現がありますが、人が変わっても同じ表し方をしています。あれは
1. 事前に使う言葉を予測して、二人で決めておく。
2. 最初に表した人に合わせる。
3. ベテランの人が表したものに合わせる。
4. ろう者の反応を見て、決める。
どうやっているんでしょう? 」

手話では、長い講演などでは、15〜20分で通訳者が交代します。どんな言語でも、通訳の場合、1人の人の集中力持続時間が15〜20分だとされています。これを超えて、通訳をし続けると、頭が疲労し通訳者が疲れてきます。この疲労の蓄積が、通訳者の健康を害する場合があるため。また、集中力の落ちた通訳は質の下がる可能性もあり、それを見る聞こえない人にとって良い情報環境でなくなってしまうからです。
さて、そんなわけで、上記の質問にお答えします。

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【表出する手話の統一】
1. 事前に使う言葉を予測して、二人で決めておく?

その通りです。手話には、様々な言い回しや単語の表現がありますが、現場で通訳をするとき、チームで事前に「必ず出てくるであろう表現の 単語や言い回しの統一」を行います。一貫して同じ単語、同じ言い回しを使うことで、見る人が混乱せず、通訳する人が変わっても同じ表現を見続けることができるようにするためです。
また、この統一については、前持って、受け取れる資料があれば、みんなで読み、統一が必要な単語の拾い出しなどを行います。
次に、政治の話、経理の話、ITの話などなど、専門用語も関わってくる場合、必要な分野の手話を洗い出し、最終的には、その分野に比較的詳しいベテラン通訳者、または、事前に会場の聞こえない方と話し合いが持てる場合には、その方々も加わって、表現の統一を行なうことが多いです。

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【最初に通訳に立つのは誰?】
2. 最初に表した人に合わせる。
3. ベテランの人が表したものに合わせる。

⒉ ⒊ については、まとめてお答えします。
「⒉の最初の人に合わせる!!」これは、当然そうならざるを得ません。笑
後に続く人に大いに影響を与えるのが、最初の人!ということになります。この人が表現したものを基準に後の人が合わせなければ、表現の統一になりません。笑

しかし、「3. ベテランの人が表したものに合わせる。」は、ちょっと違います。
私は、この⒊の質問をいただいたことで、今日のブログを、書こう!と、思いました。

⒉のご質問にも関わることなのですが、「最初に通訳に立つのは、基本、新人!」というのが、現在の現場の一般的な考え方です。
新人は、チームの最初に通訳に立つのは、たいていの場合嫌がります。笑 「あなたが!」「いやいや、あなたが!」「私は新人だからムリムリ!!」「最初は、雰囲気もわからないし、やっぱり先輩にやってもらった方がいい」などと言って、先頭を譲り合ってしまうのです。
ところが、当然ですが、全体統一のためには、最初の人が表したものを、きちんと後ろの人が引き継がなければいけません。そして、実は、この「引き継ぎ」にこそ能力が必要なのです。笑
もし、いくら慣れているからと言って、先輩が、先頭を切って巧みな手話で、ペラペラと通訳してしまったら、どうでしょう?大汗 新人にはそれを維持して引き継ぐことが 難しい場合がほとんどです。またさらに舞い上がってしまうこともあるかもしれません。逆に、先輩が後からであれば、前の新人が行なった通訳を、記憶にとどめて、ちゃんと合わせて通訳してくれます。ですから、頼りになる先輩がいればいるほど、新人は先に!!これが、昨今の通訳の順番の常識なのです。笑
⒊ の質問への答えは、「他の人が先輩やベテランに合わせる」のではなく!! 「ベテランが新人に合わせる」!! これが、現場に即したナチュラルな判断ということになりそうです。
新人の皆さん!!ぜひ、通訳の順番は、後ろに控える先輩を信じて、「先に」行なってください。それが、チームとしての表現統一と、それを見る聞こえない人への、心ある協力体制となります。
みんなで、力を合わせて、心を込めて頑張りましょう。

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【現場での判断】
4. ろう者の反応を見て、決める。

これは、さらにその上での、判断になります。場合によって、この考えは重要です。
ろうの方が多いと想定していたら、難聴の方の方が多そうだ。音声対応手話よりに、手話と一緒に口話の使い方を増やした方が、良さそうだ。とか、
こちらが良かれと思って準備した専門用語より、できるだけ意味を噛みくだいた一般用語で伝えた方が良さそうだ。などなど・・・
これは、その場で目の前におられる聞こえない方の反応や、休憩時間の指摘によって、変更される場合もあります。
もちろんこの時も、方針の統一は必要ですので、こういう時こそ先輩の出番。より通じやすい表現目指して、大いに先輩を頼り、指示に従い、みんなで最後まで乗り切りたいものです。


以上が、4つの質問についての、私なりのお答えです。
ほんとに、積極的な質問をいただき、今回は嬉しく思いました。
通訳で大切なのは、「チームの協力」だということが、ここからも良く見えてきますね。
みんなで力を合わせて、良き手話通訳目指し、共に頑張りましょう。
本当にありがとうございます。






posted by 南 瑠霞 at 10:06| 東京 ☀| 手話を学ぶ心 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする