手話の授業で、気をつけていること

短大などの学生さん達が、
毎週1回授業を受けて、
半年の授業終了後には、
ほぼすべての皆さんが、
手話を話せるようになって、
卒業していきます。
大学の教務の方にも、
このブログの読者の皆さんにも、
すごいですねー!!
と、おほめいただき、本当にうれしいです。
ありがとうございま~~す。

私が、短大で指導するにあたって、
気をつけていることは3つあります。

1、 声に頼らないで指導すること。
2、 怒らないこと
3、 ちょっとでも出来たら、すごくほめてあげること

以上の3つです。笑

1、声に頼らないで指導すること
皆さんも、ご存じのとおり、
私は、高校・大学などに呼ばれた場合、
体験談などの講演でなく、
手話の授業である限り、
基本的に、音声は使いません。
身ぶり、手ぶり、絵、板書で、
全てのコミュニケーションを行います。
声を使わず伝えることで、
学生たちが、手話の存在意義を、
体で納得してくれるのです。
これは、ナチュラルアプローチ・・・と言うよりも、
学生自体が、聞こえない学生になって、
授業を受けてもらう・・・という感覚に近いものです。
そして、声を使わないという条件の中で、手話を覚えると、
ほんのちょっとしたことでも、その手話を使えば、
簡単に通じることを実感します。
声がない状態では、筆談や身ぶりなどより、
単語の意味も使い方にもルールがある言語としての手話が、
とても素早く通じ、面倒でなくなるのです!!
そして、手話が通じる!!と、実感した学生たちは、
嬉しくなってしまって、
1回覚えた手話を、授業中手放すことはありません。笑
だって、それを正しく使えば、声を使わなくても通じ合えるんだもん!!笑

その条件がそろったところで、
実際に、本当にろうの若者にも、
授業に来てもらいます。
そして、実際に、話したり質問したりする中で、
学んだ手話が、聞こえない人とお話しし、通じ合えると体感してもらえれば、
学生たちのワクワクも最高潮!!
みんな、最後まで、楽しく手話の授業についてきてくれます。

2、怒らない
3、すごくほめてあげる
これ、みなさん、どんなことをイメージします?
私は、手話の入門の方には、
この2つを大事にしようと思っています。
なぜなら、入門を学ぶ学生たちは、
手話の世界の赤ちゃんと同じ。
赤ちゃんは、生れてきたら、
お父さんお母さんに、
「生まれてきて、よかった、よかった~」
「うちの子はかわいい!!ステキ!!」
と、いっぱい言ってもらったり、思ってもらったりして、
安心して、コミュニケーションをとる中で、
言葉を覚えて行きます。
言葉を覚えるには、この安心とニコニコが、
とても大事だと、私は考えるからです。

私は、学生たちに、
うまくできないとか、なかなか覚えられないとかいうことで、
強くアドバイスや意見したりすることはしません。
また、来週までに、ここまで全部覚えなければいけません。
とか、そい言うことも、言いません。
わからなくて、答えられないときは、
「わかりません」と、手話で伝えられることを大事にし、
その「わかりません」の表現ができたら、
とてもほめてあげます。
手話は、コミュニケーションですから、
まず、自分の状態を相手に伝えることが、大切です。
だから、わからないことを「わからない」と言えた子は、
本来の読み取りの答えが0点だったとしても、
コミュニケーションは、満点です。笑

わからないとき、怒られずに、
わからないということが、理解してもらえるんだと
感じた学生たちは、
次は、ちゃんと、質問したり、覚えてきたりしてくれます。

あ、それから、私語のうるさい子も、
その私語を手話で教えてあげて、
それができたら、ほめてあげます。笑
そうすれば、その子は、自分に興味のある話題で、
授業以外の手話表現に触れられるので、
手話を身近に感じてくれるのです。笑

そうやって、半年繰り返していくと、
今年も、絶対落ちこぼれるかも・・・
と、内心、冷や汗だった学生さんも(ごめんなさい/笑)
ちゃんと、自分の名前や、
趣味の話が表現できるようになり!!再笑
みんなもだんだん、
手話が通じないとき、あわてなくなり、
「私、手話わかならい。書いていい?」とか、
そういう、表現ができるようになって、
授業を終了することができました。

中には、毎週遅刻していた学生さんは、
「時間に遅れ、ごめんなさい。」とか、そういう表現だけ、
得意になって終わる子もいます。笑
それでも、いいのです。
自分が、慣れ親しんで、安心して、伝え合える!!
それが、コミュニケーションの基本。
そこを大事にすることで、
学生たちには、手話への思いを、暖かく感じて、
卒業して行ってもらえればと、毎年考えています。

私の授業を半年受けたあと、
その後久しく、手話のことなど思い出しもしない・・・
なんて、子もいます。笑
保育士になって、
聞こえない保護者の方とのコミュニケーションに
役立てていると言う子もいます。
中には、少数ですが、さらに興味を持って、
手話サークルに行ったり、
手話通訳士を目指す学校に進む子もいます。
半年間学んだ手話をどう生かすかは、その子たち次第です。
でも、いつかまた、聞こえない子供や聞こえない人に出会ったとき、
あ、学生の時、手話やったな・・・あのとき楽しかったな、
もう一回、やってみようかな。
なんて、5年後でも10年後でも、思ってもらえれば、
私の入門の心の種まき作業は、
素晴らしい成果なんだと思っています。

手話に限らず、どんな言葉も、出発地点は、
通じ合いたいと思う心。
英語も又、受験戦争の中で、
技術ばかりを追いかける授業が繰り返され、
私達は、いつしか、
相手と話すためでなく、
良い成績・良い点数を得るための語学習得に
必死になってしまいます。

その結果、街で、英語で話しかけられると、
わ、ヤバイ!!私、英語できないんだし!!
なんて、逃げちゃう人だって、いますよね。汗&笑

手話がこうならないための努力。
現場の私達も、心をこめて、
気持ち温めて、続けて行きたいなあ・・!!

今日も長文、
読んでいただき、ありがとうございます!!

携帯マスコット.jpg
お友達のアイフォン。
左上にいるのは、イヤホンのところにちょこっとさしておく、
マスコットなのだそうです。
かわいいので、写真に撮らせてもらいました。
それにしても、こういうの、
どこに売っているんだか!!
よく見つけてくるよなあ・・笑

この記事へのコメント

サトゥー
2012年02月06日 08:34
たぶん、そこまでのかたちにするのに、随分と時間が掛かったのでしょうね。

この様な授業の指導は、色んな場面で本当に役に立ちそうです。

いつもお教え下さって、心から感謝します。
マル
2012年02月06日 13:01
高田です
2012年02月06日 13:09
①「交流」するための「言語」か
②「言語」を学習するための「交流」か

手話で「わからない」と伝え、怒られることの悲しさ・・・コミュニケーションを取りたいだけなのに。
語学力をcheckされてjudgeされるための会話・・・悲

英語学習の場合は、完璧を求めて英語を学習した人→英語を教える、という雇用問題がありますね。最近は、営利目的の外国人講師の楽しい授業により改善?

手話も、ネイティブサイナー講師に、楽しい授業をもっともっと展開して欲しいです!(営利welcome!)
手話という素晴らしい言語を話せることがうらやましいです。



さくら
2012年02月06日 13:10
そんな南さんの授業受けてみたいです(;_;)
学生さん達がうらやましい!!

私は…。
迷った末、ある場所で手話の勉強会をやっていただけるようで。
そこにお邪魔しようと思っています(*^^*)
ご夫婦が聾者の方ですが、私が「覚えたい」って言ったら、とても喜んでくれました。
声ありだったけど、少しでも会話ができた事がとても嬉しかったです(^^)v

今週末、初めての授業?です。
緊張するけど、楽しんでもっとたくさん会話ができるようになりたいです!
その時は、南さんとお話できたらいいなぁ(^-^)
マル
2012年02月06日 13:17
間違えて送信したコメントがあります[m:57]
ごめんなさい[m:63]

僕も年に数回、小学校なんかで手話の授業を依頼されます[m:206]
先生とは簡単な打ち合わせだけで、あとは全部任せてもらってます[m:74]

小学生なので、最初の自己紹介と授業の内容を手話だけの声なし[m:60]
一番緊張する時間です[m:78]
ここが上手くいくと後×[m:167]まで集中して進められます[m:41]

実際にわからないという体験が子どもたちの興味をさらに深めるのでしょうか?

授業の内容は子どもたちの様子を見ながら実技と講義を織り交ぜ、飽きないように区分してます[m:78]
どれだけ興味を持ってくれるのかはわかりません[m:60]
でも手話を通じて相手の立場を考えられる大人になってほしいですね[m:209]
南 瑠霞本人
2012年02月06日 14:34
サトゥーさん、
ありがとうございます。
南 瑠霞本人
2012年02月06日 14:38
高田さん、
ありがとうございます。
なるほど、教える側が、営利目的でも、
受講生のためになっているなら、
全然OKですよね。

学習のための交流・・というのは、
いつしか、話す理由を失ってしまいます。
新しい出会いの中から、
良き人間関係が、築けるといいですね。

英会話も、ネイティブの先生の授業、
楽しいですよね。
また、久々に、英会話喫茶、
行こうかな!!笑
南 瑠霞本人
2012年02月06日 14:39
さくらさん、
聞こえない人に囲まれて、
いろんな会話楽しんでください。
たくさんのプチ留学
(手話ワールドに飛び込む)で、
素敵な出会いを!!
ありがとうございます。
南 瑠霞本人
2012年02月06日 14:41
マルさん、
ありがとうございます。
小学生の子供たちは、
新しいことを、色眼鏡なしに、
どんどん吸収してくれると思います。
素敵な輪を、
広げていけるといいですね。
コメント 感謝いたします!!

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