ミムラさんと手話

「37歳で医者になった僕」
たくさんの方に、ブログを見に来ていただき、
ありがとうございます。
ドラマを終了し、
みなさんから、励ましや、お疲れ様の言葉もたくさんいただき、
感謝しております。

バラ園.jpg
(撮影現場となった病院中庭。満開のバラ)

今回、ドラマでは、
ミムラさんが、
すずとして、ほぼすべてのセリフを手話でお話しされました。

私が好きだった手話は、
やはり、10話の病院の中庭の
バラの花園シーンで、話されたものです。
あの場で、すずと、研修医の瑞希との間には、
いろんな会話が交わされたのですが、
その中でも、すずが、
「・・・今のほうがちゃんと見えてる気がする。
空とか、花とか・・」
と、言った
「空」と「花」という手話です。

え?なんだ・・・
ドラマで、すずは、あんなに、いろんな思いを切々と
様々な場面で語ったのに、
南さんが、好きなのは、空と花?
と、お思いの方もおられるかもしれません。

もちろん、「空」「花」という単語は、
手話では比較的簡単で、
腕をあげて、てのひらで空をなぞるように動かせば「空」
幼稚園でも、みんなでやった、
あのお花の形を両手で表せば「花」になります。

でも、だからこそあの手話は、難しかった・・・
と、私は思っています。
あの手話は、手の形や動かし方さえ間違えず、
キチンと頑張って表現すれば、
中身は、正しく伝えられたはずです。

ただ、ミムラさんは、あの手話を、
空間的、視覚的に豊かにとらえ、
ごく自然に、伝えていたのです。
多くの人が、手話の空間表現に苦労する中、
あの手話は、生きた言葉だった。

あのセリフの時、
ミムラさんは、あの場に吹く風を感じながら、
ちゃんと、あの中庭から見上げた空と、
目の前で揺れる花を、意識の中でとらえながら、
「空」「花」と表現していました。
だから、あのセリフが、見る人の目にも、
花園の空間と一緒になって、
画面から飛び込んできたことと思います。

『今、ここにある空』 と 心の中で感じながら「空」。
『今、目の前に揺れている花』 を、側らにとらえながら「花」。
あの時、ミムラさんは、手話を、手の形だけで表すのでなく、
心で話しているように、私には、感じられました。

もちろん、このほか、すずが、
7話で「あなたといると、治りたいって思わなければいけない・・」と、
大事な決意を、伝えた夜の港。
10話の病床で語った、
「祐太さんと・・・今を生きたい。」という、まっすぐな気持ちなど、
心に残る手話シーンは、たくさんありました。

でも、担当者として「手話」を追いかけた時、
私が、とても大事に感じたのは、
ダントツ ミムラさんの表わした「空」と「花」でした!

私にとっては、あのシーンが、
今回のドラマで、ミムラさんに、
手話指導をさせてもらって、良かったと、
心に落ちた瞬間だったのです。

確かに、ミムラさんのおっしゃるように
(前日の日記に書かせていただいています)、
私達は、いつしか、
言葉を大事に話すことを、忘れているときがあるかもしれません。
ただ、音にして、相手にはなち、
相手も又、音でとらえ、
言葉の重みや、目の前の風景など、なかったことにして、
手短かにすませてしまうことも、たくさんあるでしょう。

そんな中、脚本家の古家さんが、
絵のあるせりふを生みだし、
撮影チームが、現場に、あの高台の中庭を選び、
そして、ミムラさんが、
その風景をとらえたからこそ生まれた
手話の「空」と「花」。

手話を学ぶものなら、
だれもがそう表したいと願っているであろう
「空」と「花」が、ミムラさんの手の中にありました。

あのシーンは、花も風景も美しかったけれど、
ミムラさんの手話も美しかった。
だから、私は、あのシーンが、好きです。

ちまたでは、多くの方が、
ミムラさんの、手話の表情が豊かで素敵だったとお話しされています。
表情の豊かさは、もちろん、手話の美しき特徴の一つでもありますが、
今回のドラマでは、
ミムラさんが、空間と思いをとらえ、
自分の言葉として、表現したからこその、
こぼれるような表情であったと、私は思っています。

ミムラさん、
本当に、素敵な3か月をありがとうございました。
今ここにいても、又、もう一度握手させていただきたい気持ちです。
すず、お疲れさまでした。

花.jpg
主題歌サカナクションの歌のタイトル「僕と花」にも出てくる言葉
「花」の手話。あなたも、手で表現してみてください。

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