日系移民コンディションⅢ
和歌山県串本町に実家があり、
ファミリーは、そこをルーツに持つ、日系人です。
母方は、オーストラリア。
父方の親戚は、ハワイ・アメリカ西海岸に、
散っています。
先日、オーストラリア在住フォトジャーナリストの、
金森さんが、実家を訪ねてくれて、
日系移民である母方の祖父の取材をしてくれました。
串本の町を見下ろす高台にて。カメラを構えるマユさん。
Photo by 南 瑠霞
☆ その内容をまとめたマユさんの英語ブログ記事はこちら→
http://aboutmurakami.wordpress.com/2013/02/20/252/
☆ 南 瑠霞が日本語に翻訳した記事はこちら→
http://minamiruruka.seesaa.net/article/331015115.html
日ごろ私は、手話にかかわる仕事をしていますが、
英語と日本語の翻訳作業を通して、
改めて、言葉の持つ、文化的ニュアンスの違いを、
感じました。
今回、一番難しかったのは、
ズバリ!マユがテーマにしている
「Diasporic condition(ディアスポリック・コンディション)」
という言葉。
マユによると、これ、
最近、オーストラリアや、アメリカ、カナダなどで、
話題に上るようになった新語らしい。
Diasporic(ディアスポリック)という言葉の元は、
Diaspora(ディアスポラ)。
語源はヘブライ語で、
世界中に散らばったユダヤ人を意味したことが始まり。
最近英語圏では、これが転じて、
世界中に住む中国系の人とか日系人などをさす言葉としても、
使われているのだそう。
(例えば、チャイニーズ・ディアスポラとか、
ジャパニーズ・ディアスポラと呼ばれるらしい。)
つまり、今やこれは、世界的に、
海や大陸を越え、異国の地に住み着いた人々のこと、
すなわち「移民」を指す言葉の一つとなっている。
なるほど!!
そして、この、Diaspora(ディアスポラ)=移民 という言葉に、
icをくっつけると、Diasporic(ディアスポリック)。
日本語的に発想すると、
ディアスポラ的な、とか、ディアスポラ風の、
つまり、移民的~(なになに)、移民風~(なになに)と、
言った感じに使われる言葉になるようだ。
日本語では、もっと平たく、
「移民の~」と訳してもよさそう。
一方、日本人の私に、難しかったのが、
Condition(コンディション)という言葉の解釈。
日本語で、「コンディション」といえば、
「調子」「状態」に決まってるじゃないか!!
「コンディションどう?」
と言われれば、アスリートかなんかの今日の体調だろうし、
「今日のコート、コンディションが悪い!」
といえば、テニスコートか何かが、
おそらく雨などで足元の状態でも、
悪くなっているんだろう。
それじゃ、
「移民のコンディション」て何????
ってことになる。
移民の体調? 移民の状態????
結局、意味がよくわからない。。。。汗
難しい!!
辞書でCondition(コンディション)という英語を引いてみると、
体調、状態などのほか、
あり様、状況、様子、事情、必要条件 などの日本語が、出てきた。
つまり・・・
Diasporic condition(ディアスポリック・コンディション)とは、
移民のありさま/移民の状況/移民の様子/移民の事情・・・・
ちょっと、意味が見えてきた。。。
まあ、例えば、新聞などでは、もしかしたら、
移民事情とでも訳すのが、
日本人には、わかりやすいかもしれない。
世界が、気に留め、話題に上る移民事情。
Diasporic condition(ディアスポリック・コンディション)
何度かのマユとのメールのやり取りの中で、
このテーマを翻訳する日本語として、
マユは「移民の姿」という表現を選んだ。
マユにとって、
condition(コンディション)とは、
移民のあるべき姿でも、
移民のとるべき行動、
移民たる条件でもなく、
在り方そのもの。
それを伝えたいから『姿』。
英語圏で、移民たちが語る、研究者が見つめる、
Diasporic condition(ディアスポリック・コンディション)。
マユは、この場合のcondition(コンディション)に、
シンプルな『姿』という言葉が、
なじむのだと言った。
レンズから、人々の姿を、
まっすぐにとらえ続けてきた、
フォトグラファーらしい、選択だと思った。
彼女はまさに、日系移民たちの姿を見ている。
その姿そのものを、
人々に届けたいと思っているのだ。
事情とか、状況とか、四の五の理屈をつける前に、
そのまんま『姿』。
また、Diasporic(ディアスポリック)という言葉は、
世界的には、各地の「移民」全体をさす言葉として、
使われることが多いようだ。
一方、マユ自身が問いかけている自らのルーツは、
まさに日本であり、
日本からの移民の先達として、オーストラリアに渡り、
後の日系人たちに指針を与えた
村上安吉を、追いかけていることから、
マユにとっての「移民」とは、
「日系移民」を意味すると、特定。
今回のマユのブログのタイトルは、
Diasporic condition(ディアスポリック・コンディション)
~ 日系移民の姿
と、させていただいた。
(翻訳記事は、こちら→
http://minamiruruka.seesaa.net/article/331015115.html
☆ 金森マユ プロフィール
http://mayu.com.au/%e9%87%91%e6%a3%ae%e3%83%9e%e3%83%a6/
☆ 金森マユ 今回のプロジェクト About Murakami ブログは、
http://aboutmurakami.wordpress.com/
言葉はまさに、国と国、人と人の間で揺らぎ、
とらえどころもなく、
かと言って、無力でもない。
この言葉と思いの、はざまに立つ、
日系人ファミリーに生まれた私だから、
手話に、思いを寄せたのかもしれないと思った。
私に、自らへの問いかけの機会をくれた、
マユに、感謝。
日本人移民文化出発地点の一つ。本州最南端、和歌山県串本町潮岬の芝生。
一面に広がる芝生の丘は、毎年冬に、いったん焼き払われる。
マユと訪れた潮岬は、この行事の後で、すすけて黒かった。笑
(2013年串本カレンダーより)
ファミリーは、そこをルーツに持つ、日系人です。
母方は、オーストラリア。
父方の親戚は、ハワイ・アメリカ西海岸に、
散っています。
先日、オーストラリア在住フォトジャーナリストの、
金森さんが、実家を訪ねてくれて、
日系移民である母方の祖父の取材をしてくれました。
串本の町を見下ろす高台にて。カメラを構えるマユさん。
Photo by 南 瑠霞
☆ その内容をまとめたマユさんの英語ブログ記事はこちら→
http://aboutmurakami.wordpress.com/2013/02/20/252/
☆ 南 瑠霞が日本語に翻訳した記事はこちら→
http://minamiruruka.seesaa.net/article/331015115.html
日ごろ私は、手話にかかわる仕事をしていますが、
英語と日本語の翻訳作業を通して、
改めて、言葉の持つ、文化的ニュアンスの違いを、
感じました。
今回、一番難しかったのは、
ズバリ!マユがテーマにしている
「Diasporic condition(ディアスポリック・コンディション)」
という言葉。
マユによると、これ、
最近、オーストラリアや、アメリカ、カナダなどで、
話題に上るようになった新語らしい。
Diasporic(ディアスポリック)という言葉の元は、
Diaspora(ディアスポラ)。
語源はヘブライ語で、
世界中に散らばったユダヤ人を意味したことが始まり。
最近英語圏では、これが転じて、
世界中に住む中国系の人とか日系人などをさす言葉としても、
使われているのだそう。
(例えば、チャイニーズ・ディアスポラとか、
ジャパニーズ・ディアスポラと呼ばれるらしい。)
つまり、今やこれは、世界的に、
海や大陸を越え、異国の地に住み着いた人々のこと、
すなわち「移民」を指す言葉の一つとなっている。
なるほど!!
そして、この、Diaspora(ディアスポラ)=移民 という言葉に、
icをくっつけると、Diasporic(ディアスポリック)。
日本語的に発想すると、
ディアスポラ的な、とか、ディアスポラ風の、
つまり、移民的~(なになに)、移民風~(なになに)と、
言った感じに使われる言葉になるようだ。
日本語では、もっと平たく、
「移民の~」と訳してもよさそう。
一方、日本人の私に、難しかったのが、
Condition(コンディション)という言葉の解釈。
日本語で、「コンディション」といえば、
「調子」「状態」に決まってるじゃないか!!
「コンディションどう?」
と言われれば、アスリートかなんかの今日の体調だろうし、
「今日のコート、コンディションが悪い!」
といえば、テニスコートか何かが、
おそらく雨などで足元の状態でも、
悪くなっているんだろう。
それじゃ、
「移民のコンディション」て何????
ってことになる。
移民の体調? 移民の状態????
結局、意味がよくわからない。。。。汗
難しい!!
辞書でCondition(コンディション)という英語を引いてみると、
体調、状態などのほか、
あり様、状況、様子、事情、必要条件 などの日本語が、出てきた。
つまり・・・
Diasporic condition(ディアスポリック・コンディション)とは、
移民のありさま/移民の状況/移民の様子/移民の事情・・・・
ちょっと、意味が見えてきた。。。
まあ、例えば、新聞などでは、もしかしたら、
移民事情とでも訳すのが、
日本人には、わかりやすいかもしれない。
世界が、気に留め、話題に上る移民事情。
Diasporic condition(ディアスポリック・コンディション)
何度かのマユとのメールのやり取りの中で、
このテーマを翻訳する日本語として、
マユは「移民の姿」という表現を選んだ。
マユにとって、
condition(コンディション)とは、
移民のあるべき姿でも、
移民のとるべき行動、
移民たる条件でもなく、
在り方そのもの。
それを伝えたいから『姿』。
英語圏で、移民たちが語る、研究者が見つめる、
Diasporic condition(ディアスポリック・コンディション)。
マユは、この場合のcondition(コンディション)に、
シンプルな『姿』という言葉が、
なじむのだと言った。
レンズから、人々の姿を、
まっすぐにとらえ続けてきた、
フォトグラファーらしい、選択だと思った。
彼女はまさに、日系移民たちの姿を見ている。
その姿そのものを、
人々に届けたいと思っているのだ。
事情とか、状況とか、四の五の理屈をつける前に、
そのまんま『姿』。
また、Diasporic(ディアスポリック)という言葉は、
世界的には、各地の「移民」全体をさす言葉として、
使われることが多いようだ。
一方、マユ自身が問いかけている自らのルーツは、
まさに日本であり、
日本からの移民の先達として、オーストラリアに渡り、
後の日系人たちに指針を与えた
村上安吉を、追いかけていることから、
マユにとっての「移民」とは、
「日系移民」を意味すると、特定。
今回のマユのブログのタイトルは、
Diasporic condition(ディアスポリック・コンディション)
~ 日系移民の姿
と、させていただいた。
(翻訳記事は、こちら→
http://minamiruruka.seesaa.net/article/331015115.html
☆ 金森マユ プロフィール
http://mayu.com.au/%e9%87%91%e6%a3%ae%e3%83%9e%e3%83%a6/
☆ 金森マユ 今回のプロジェクト About Murakami ブログは、
http://aboutmurakami.wordpress.com/
言葉はまさに、国と国、人と人の間で揺らぎ、
とらえどころもなく、
かと言って、無力でもない。
この言葉と思いの、はざまに立つ、
日系人ファミリーに生まれた私だから、
手話に、思いを寄せたのかもしれないと思った。
私に、自らへの問いかけの機会をくれた、
マユに、感謝。
日本人移民文化出発地点の一つ。本州最南端、和歌山県串本町潮岬の芝生。
一面に広がる芝生の丘は、毎年冬に、いったん焼き払われる。
マユと訪れた潮岬は、この行事の後で、すすけて黒かった。笑
(2013年串本カレンダーより)
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