手話通訳士に向けての勉強をする

最近、
手話通訳士に向けての勉強をしたいという方が増え、
うちでも、学習会を開いてほしいという、
お願いが何件か来ている。

そろそろ、今年あたり、
みんなで、勉強会をしてみるのもいいかな、
と思案している。

きのうは、事務局で、
ならば、どんな勉強会をしたらいいのか・・・!
と、かなりいろいろ話し合った。

手話通訳士は、厚生労働省管轄の資格で、
試験には、学科試験と実技試験がある。

学科は、
〇障害者福祉の基礎知識
〇聴覚障害者に関する基礎知識
〇手話通訳のあり方
〇国語
の4教科。

実技は、
〇聞取り通訳〔音声による出題を手話で解答〕
〇読取り通訳〔手話による出題を音声で解答〕
がある。

新年度の試験は、
学科試験が、2013年10月5日(土)
実技試験が、2013年10月6日(日)
に行われる。

申込期間は、かなり早い時期で、
今年の、5月1日(水)から6月30日(日)までなので、
なんと、受験するなら、
この4月くらいから1か月の間に、
いろいろ考えることが必要だ。

つまり、秋の試験を受けるには、
今、その覚悟を決めて、
準備をスタートさせなければいけない。

さらに、いくら勉強するとは言っても、
この半年間で、何とか、いろんなハードルを乗り越え、
試験に向けて、体制を整えていくとなると、
ある程度、手話の経験がある人でないと、
いきなり、入門からでは、難しい。
たぶん、最低でも、2年くらいの経験は必要。
これで、聴こえない人とある程度話せているという人なら、
受験してみる価値はあるかもしれない。

手話通訳士試験の、毎年の合格率は、10%~20%。
毎年100人くらいの人が合格していることを考えると、
およそ、7~800人の人が、全国で受験していることになる。
(多いときで、1000人弱くらいかな?)

試験会場は、東京、大阪、熊本の3か所なので、
どうしても、周辺地域の人が多くなる。

たぶん、私が、お教えできる一番得意な部分は、
音声による同時読み取り通訳だ。
通訳者を目指す、多くの人が、
聞き取り通訳(音声を聞いて手話に換える通訳)よりも、
読み取り通訳のほうが、苦手だという。
ろう者の手話が読み取れない。
読み取れてわかっているのに、日本語にできない。
日本語にできても、適切な表現・言い回しができない・・・
多くの方の悩みを聞く中で、
この辺のことなら、私でも、
多少のお役には立てるかもしれないと思う。

ちなみに、参考までにだが、
手話パフォーマンスきいろぐみ、手話あいらんど関係者には、
手話通訳士が多い。
ところが、今まで、みんなで手話学習などを、
一緒にしたことは、一度もない。
みんな、自分たちで、勝手に勉強し、
さらに、エンターテイメント活動に通用する腕を磨き続けてきた結果、
受験してみたら受かったという人が多い。

私たちがスゴイと、言っているのではない。汗&笑
ココには、手話に対する姿勢の、
ひとつの、ヒントが隠されていると思うのだ。

私たちに限らず、
周りのいろんな手話通訳士の方々を、見ていると、
なんとなく、伝わってくるものがある。

手話通訳士になることだけにこだわらず、
手話を学んで、何がしたいかとか、
身に着けた手話を、どのように生かしたいかとか、
手話を通じて、周りの人とどうつながり合うかとか、
その辺の気持ちがしっかりしている人のほうが、
手話通訳士に近いところに、
いるらしいかもしれないってこと。
手話の向こうに何があるのか。
あなたは、何を見ているだろうか。

手話通訳士になることは、
手話学習において、けして、目標やゴールではない。
それよりずっと大事なことがある。

手話は、聴こえない人の大事な言葉であり、
聴こえない人のたくさんの知恵が詰まっている。
その手話を使って、通訳するということは、
まさに、人と人の出会いを結ぶ大事な役割を担うということ。

私が手話通訳士試験を受けるとき、
迷ったことが、ひとつだけある。
たとえば、聴こえない人が重病で、
今にも亡くなりそうだという時、
その場に通訳者として入ったとしたら、
その手話が読み取れず、
「もう1回お願いします。」とは、言えないってこと。汗
そんな、覚悟ができるかどうかだった。
実は、そんな覚悟は、とうていできなかったし、
いまだ、そのような場面にもいきあたったことはない。
ただ、当時、
本当に、お世話になった聴こえない人たちが、
「ねえ、南さん、手話通訳士になって。
がんばって。私たちの活動を、盛り立てて。」
と言ってくれたから、受験した。
合格したら、みんながすごく喜んでくれた。
いっぱい、いっぱい喜んでくれた。
私は、ただそれだけで、本当に、うれしかったし、
手話通訳士の試験を受けて、良かったと思った。

そんな聴こえない方々への恩返しとして、
。。。なんて、
殊勝なことは言える人柄でもキャラでもないが、
読み取り通訳のアドバイスくらいなら、
多少、私にもできるかも・・・
もし、あなたが、勉強しようと思うなら。
・・・そう思って、4月を迎えようとしている。

桜舞い散る肌寒い風が吹き終わる頃、
若葉の春が、やってくる。

ミルクティ.jpg
今日の写真は、我が家のホットミルクティ。
(by my新しいカメラ/笑)

この記事へのコメント

はるちん
2013年03月29日 06:44
コメント長くなっちゃってすみません。
私も聞き取りより読み取りの方が得意です。

もう10年以上前になりますが、市の通訳の講習会に通ってた頃、私は試験で読み取りの成績がよかったのですが、講習会で一緒だった人から、「いいわよねぇ、ろうの友だちがいる人は...」とイヤミっぽく言われたことがあります。
確かに学生だった私は自由な時間がたくさんあったから、平日の夜はサークル、休みの日はろうの友だちと遊び歩く生活をしてました。ちょうどその頃は憲法改正の100万人署名運動をしていて、実行委員もしていたので市や県域のろう協の理事の人たちとの交流もあったので、老若男女の手話に囲まれていました。

あと1年頑張れば、市の登録手話通訳への道があったのですが、若かった私はおばさんたちのねたみ、ひがみの視線に耐えきれず、辞めてしまいました。

私の周りのろう者も、○○さんみたいな人が通訳になってくれるといいのにと応援してくれていたのですが、期待には応えられませんでした。

子育てが落ち着いたら、また勉強してもいいかなという気持ちも今なら少しあります。
南 瑠霞本人
2013年03月29日 10:08
はるちん!!
いつも、ありがとう。
そうそう、若い子が手話がうまいと、
うらやましがられるんだよね。笑

手話通訳士制度を作るための運動、
遺言の法律を変える運動、
現場の人は、本当に、
いろいろ考えさせながら手話をしている。
そういうことにも触れながら、
聴こえない人とともに手話をしていきたいね。

子育てが落ち着いたら、
ぜひ、一緒に手話通訳士の試験、
受けましょう。
本当に、ありがとう!!

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