大きな古時計
先日、手話の歌を作って歌う際の、
心構えについてお話しました。
http://minamiruruka.seesaa.net/article/407190708.html
いろんな方から、感想やご意見をいただき、
ありがとうございました。
その時、
『日本語詞を手話にする際、
単なる正しい翻訳ができるだけでは、
歌として成り立たない。
それだけでは、語数やタイミングなどが合わず、
もとのメロディやリズムに乗せて歌えるようにならないので、
イメージや、語数・文字数を調整するなど、
さらなる工夫が必要』
と、ご紹介させていただきました。
また、それ以前に、
日本語と手話では、文法も語数も違い、
日本文の単語を、単に手話単語に置き換えても、
もちろん、文にはなりません。
手話は、一つの文法を持つ、
別言語だということもまた、
理解しなければ、良い手話の歌が作れないのです。
そんなことも、大事に考えながら、
多くのみなさんには、
魅力ある手話の歌を作り、
歌っていってもらいたいなと願います。
手話って、目の前の空間に、
手で情景を浮かび上がらせることのできる、
とても素晴らしい表現形態を持った、
言葉なのですから。
ここに、
歌詞の翻訳の難しさや、素晴らしさを気づかせてくれる、
日本語詞のいい例があります。
英語詞を日本語詞に作り替えたものです。
作詞家の保富康午(ほとみ こうご)さんの、
名訳と言われている作品です。
(英語詞)
Ninety years without slumbering, tick, tick, tick, tick,
His life seconds numbering, tick, tick, tick, tick,
But it stopp'd short, never to go again
When the old man died.
(日本語翻訳)
90年間も休まずに チク、タク、チク、タク
おじいさんの人生の一秒一秒を刻むように チク、タク、チク、タク
でも急に止まって、もう動かなくなってしまった
おじいさんの亡くなったその時に
~なんとなくわかりますよね。
メロディが浮かんできましたか?
日本語では「大きな古時計」として、
とても有名な歌の、
もとになった英語の歌詞と、その翻訳です。
さて、この翻訳ですが、
意味は丁寧にとらえられていて、
けして悪くない日本文です。
もとの英語の大事な思いも伝わってきますね。
でも、どうでしょう?
この日本語で、大きな古時計のサビの部分は、
歌えるでしょうか?
ちょっと、試しにご自分で、歌ってみてください。
・・・・言葉も何となくしっくりこないし、
長すぎて、メロディにおさまりません。
単に正しい翻訳だけでは、
歌の歌詞は、成立しづらいことが、
わかると思います。
そこで、登場するのが、
皆さんの良く知っている、
日本語のあの歌詞です。
「100年休まずに、チクタク、チクタク、
おじいさんと一緒に、チクタク、チクタク、
今はもう、動かない。その時計。」
素敵な日本語詞です。
意味も言葉も大事にされ、
何より、メロディとリズムのタイミングにピッタリ合っています。
これを、もとの英語から、導き出すには、
豊かな日本語や、音楽的感性が必要です。
また、この歌は、
英語詞では、90年と言っているところを、
日本語詞では、100年と歌っています。
作詞家の方が、
日本人が、人の寿命としてしっくりきて、
そして長生きだと感じるひと区切れなら、
100年という年月のほうが感覚に合う、と考えたからでしょう。
日本語で聞く90年は、
ちょっと微妙に中途半端な数字でもあります。
そこを、100年にしてみよう!と思いつく発想が、
この日本語詞の妙のように思います。
こうしてできた、日本語の「大きな古時計」は、
長く多くの人に歌いつがれ、
今も、聞く人の心を温かくする歌として、
親しまれています。
ここまでジャストミートに、人の心をとらえる訳詞は、
それこそ、100年に一度しか生まれないかもしれませんが、
作詞家であれば、
海外の歌をこんな風に作り上げたいと、
誰もが思うに違いありません。
私たちが作る手話の歌も、こうありたいですね。
単に、正しい翻訳!を追及するのではなく、
もとの歌に込められた歌詞の心を、美しい手話に変えて、
伝えていけるものになればステキですね。
ただし、間違った手話をつけては、
もとも子もありません。
手話は、日本語とは違う文法を持った、
れっきとした独立言語ですからね。汗&笑
そういったことは、きちんと大事にする!
というのは、大前提です。
大きな古時計も、
日本人の私達が聞いてなお、
ステキだなと感じられる日本語になっているところが、
素晴らしいんですもんね。
何度も言いますが、日本語詞の単語を、
そのまま手話単語にして並べても、
それでは、文にはなりません。
気を付けてくださいね。
そうしたことも総合的に考えて作っていけば、
素敵な手話の歌が、
ひとつ、また、ひとつと、
増えていくことでしょう。
あなたも考えてみてね。
心を込めて、手話で歌おう!
なお、これは、もとある聴者の歌に、
手話を付ける場合の考え方です。
手話の歌は、こうした方法だけではなく、
全くメロディーや楽器を使わない、手話ラップや、
手話で情景を次々と浮かび上がらせる群舞のような表現に、
後から音楽を付けたものなど、
いろんなものがあります。
手話で思いを描き出すアートは、
パフォーマーの数だけあると言ってもいいでしょう。
心構えについてお話しました。
http://minamiruruka.seesaa.net/article/407190708.html
いろんな方から、感想やご意見をいただき、
ありがとうございました。
その時、
『日本語詞を手話にする際、
単なる正しい翻訳ができるだけでは、
歌として成り立たない。
それだけでは、語数やタイミングなどが合わず、
もとのメロディやリズムに乗せて歌えるようにならないので、
イメージや、語数・文字数を調整するなど、
さらなる工夫が必要』
と、ご紹介させていただきました。
また、それ以前に、
日本語と手話では、文法も語数も違い、
日本文の単語を、単に手話単語に置き換えても、
もちろん、文にはなりません。
手話は、一つの文法を持つ、
別言語だということもまた、
理解しなければ、良い手話の歌が作れないのです。
そんなことも、大事に考えながら、
多くのみなさんには、
魅力ある手話の歌を作り、
歌っていってもらいたいなと願います。
手話って、目の前の空間に、
手で情景を浮かび上がらせることのできる、
とても素晴らしい表現形態を持った、
言葉なのですから。
ここに、
歌詞の翻訳の難しさや、素晴らしさを気づかせてくれる、
日本語詞のいい例があります。
英語詞を日本語詞に作り替えたものです。
作詞家の保富康午(ほとみ こうご)さんの、
名訳と言われている作品です。
(英語詞)
Ninety years without slumbering, tick, tick, tick, tick,
His life seconds numbering, tick, tick, tick, tick,
But it stopp'd short, never to go again
When the old man died.
(日本語翻訳)
90年間も休まずに チク、タク、チク、タク
おじいさんの人生の一秒一秒を刻むように チク、タク、チク、タク
でも急に止まって、もう動かなくなってしまった
おじいさんの亡くなったその時に
~なんとなくわかりますよね。
メロディが浮かんできましたか?
日本語では「大きな古時計」として、
とても有名な歌の、
もとになった英語の歌詞と、その翻訳です。
さて、この翻訳ですが、
意味は丁寧にとらえられていて、
けして悪くない日本文です。
もとの英語の大事な思いも伝わってきますね。
でも、どうでしょう?
この日本語で、大きな古時計のサビの部分は、
歌えるでしょうか?
ちょっと、試しにご自分で、歌ってみてください。
・・・・言葉も何となくしっくりこないし、
長すぎて、メロディにおさまりません。
単に正しい翻訳だけでは、
歌の歌詞は、成立しづらいことが、
わかると思います。
そこで、登場するのが、
皆さんの良く知っている、
日本語のあの歌詞です。
「100年休まずに、チクタク、チクタク、
おじいさんと一緒に、チクタク、チクタク、
今はもう、動かない。その時計。」
素敵な日本語詞です。
意味も言葉も大事にされ、
何より、メロディとリズムのタイミングにピッタリ合っています。
これを、もとの英語から、導き出すには、
豊かな日本語や、音楽的感性が必要です。
また、この歌は、
英語詞では、90年と言っているところを、
日本語詞では、100年と歌っています。
作詞家の方が、
日本人が、人の寿命としてしっくりきて、
そして長生きだと感じるひと区切れなら、
100年という年月のほうが感覚に合う、と考えたからでしょう。
日本語で聞く90年は、
ちょっと微妙に中途半端な数字でもあります。
そこを、100年にしてみよう!と思いつく発想が、
この日本語詞の妙のように思います。
こうしてできた、日本語の「大きな古時計」は、
長く多くの人に歌いつがれ、
今も、聞く人の心を温かくする歌として、
親しまれています。
ここまでジャストミートに、人の心をとらえる訳詞は、
それこそ、100年に一度しか生まれないかもしれませんが、
作詞家であれば、
海外の歌をこんな風に作り上げたいと、
誰もが思うに違いありません。
私たちが作る手話の歌も、こうありたいですね。
単に、正しい翻訳!を追及するのではなく、
もとの歌に込められた歌詞の心を、美しい手話に変えて、
伝えていけるものになればステキですね。
ただし、間違った手話をつけては、
もとも子もありません。
手話は、日本語とは違う文法を持った、
れっきとした独立言語ですからね。汗&笑
そういったことは、きちんと大事にする!
というのは、大前提です。
大きな古時計も、
日本人の私達が聞いてなお、
ステキだなと感じられる日本語になっているところが、
素晴らしいんですもんね。
何度も言いますが、日本語詞の単語を、
そのまま手話単語にして並べても、
それでは、文にはなりません。
気を付けてくださいね。
そうしたことも総合的に考えて作っていけば、
素敵な手話の歌が、
ひとつ、また、ひとつと、
増えていくことでしょう。
あなたも考えてみてね。
心を込めて、手話で歌おう!
なお、これは、もとある聴者の歌に、
手話を付ける場合の考え方です。
手話の歌は、こうした方法だけではなく、
全くメロディーや楽器を使わない、手話ラップや、
手話で情景を次々と浮かび上がらせる群舞のような表現に、
後から音楽を付けたものなど、
いろんなものがあります。
手話で思いを描き出すアートは、
パフォーマーの数だけあると言ってもいいでしょう。
この記事へのコメント
きいろぐみ25周年記念ライブ♪発表されましたね(^o^)
スケジュールがどうなるかわからないので、まだ申し込みはできないのですが…せっかくの25周年のお祝いライブですもんね♪みなさんに会いに行って、直接「おめでとう」を伝えたいなと思っております☆(^-^)
この冬もきいろぐみのみなさんと素敵な時間を過ごせたらいいなと思います(^o^)
立冬を過ぎてますます寒くなってきましたので、南さんもお身体にはお気をつけて☆お仕事頑張ってください♪ヾ(*^▽^*)ノ