手話あいらんどTVクロスカルチャー「新年のお話」

手話あいらんどTV
新年最初のクロスカルチャーは、
ヤスと南 瑠霞が、
ろうの子供達の将来にもつながる
『手話言語条例』のお話をしています。
世の中が、どんどん動いていますね。
聴者の南も、
ろう運動をされている多くの皆さんの姿に、
力強い励ましをいただいています。
本当に、ありがとうございます。



(簡単な内容)
手話あいらんどTV クロスカルチャ~~~~~!!
明けまして、おめでとうございます。

ヤスです。ろう者です。
南 瑠霞です。聴こえます。

今、学校は、冬休みですが、
もうすぐ3学期が始まります。
ヤスは、ろう学校幼稚部の先生。
6歳の子供たちの担当ですが、
間もなく、学校が始まって、
また、子供たちと楽しく過ごすことになりますね。

子供たちは、お正月も、おせちを食べたり、
スキーなどで遊んだり、お年玉をもらったりして、
元気に過ごしたことと思います。
お年玉も、親戚が多い子供は、
たーくさんもらっているかも!!笑
大人は、子供たちにいっぱい配って、
たいへんだね。
ヤスも、いっぱいお年玉を子供たちにあげてるしね。笑

今、小さな子供たちに人気のものというと・・・
2015年は、ちょうどひつじ年だけど、
羊のアニメ、ショーンは、ろうの子供達にも大人気。
ショーンは、体中毛でモコモコしていて、
顔が黒い羊。
とても人気があります。
セリフがなく、動きだけで、ストーリーが表現されていて、
聴こえない子も、聴こえる子も、
見ているだけで、楽しめます。

もう一つ人気なのは、妖怪ウォッチ!!
手話は、一方の手をグーにして、その上に、
もう一方の手の親指と人差し指を立てて、
置くように表現します。

あの妖怪ウォッチの、メダルを手に入れるのが大変で、
予約して、抽選もあって、
みーんなが並んで、すんごい列になるほど!!
ヤスと同じように子供を持っている親の友達は、
それを手に入れるために、6時間並んだんだって。
それでやっとゲットして!
ひとつ100円くらい!!
メダルは安いけど、すごく並んで、たーいへん!!
すごい人気です。
妖怪ウォッチは、踊りもみんな大好き。
ろう学校でも、幼稚部から高等部までみんな知っている。
前の踊りと、今の踊りと、2つあるけど、
運動会や、文化祭でも、
子供たちが、みんな一緒に立ち上がって踊って、
とても、盛り上がりました。

南、2つとも知ってはいるけど、詳しくないな。
今度、妖怪ウォッチの踊り、教えてもらわないと!笑

南は、
冬休みに、すごくいいことがありました。
クリスマス12月25日!!

実は、初体験で、
神奈川県議会を、傍聴に行きました。

きちんとした感じっていうより、
ズバリ、このセーターで行きました。
赤い髪でも、OKでした。笑

そこで、
手話言語条例成立を見届けてきました。
都道府県レベルでは、全国で2番目ということで、
採決されたのを目の前で見ました。
すでに、1例目として、鳥取県で、条例が決まっていて、
神奈川県でよかったのは、前例があって、
それも参考にしながら、
条例を決めたということ。
議員の皆さんも、すごく勉強されたようです。

ちょっと前に、県の聴覚障害者連盟から、
5万4千655人の「手話言語条例を求める署名」が、
届けられ、
その流れを汲んで、今回の条例が成立したんだって。

鳥取は、県知事さんが、中心になって取り組みをされ、
神奈川県では、
みんなの署名と議員の力で成立ということで、
それぞれ、違いがあるけど、本当に各地の動き、
パワフルです。

採決は、全会一致で決まりましたが、
その方法は、
賛成者が、全員立つという
「総員起立」!!
全ての議員が起立という形で、
賛成を示して可決されました。
こうした採決は、初めて見ました。
感動しました。

ろう者・手話関係者も大勢集まっていました。
傍聴席の定員が、210人だったけど、
席は、200人くらいの人で埋まっていました。
そのうち、傍聴席が崩れるのではないかと思うほど。笑
みんなの、気持ちの熱さが伝わってきました。

傍聴席には、通訳者二人が交代で立ち、
みんなの前で、ずっと議会の内容が、
伝えられていました。
盲ろうの方もおられて、こちらも、二人交代で、
触手話で通訳されており、
それぞれの人が関心と期待と持って、
集まっているのが、よくわかりました。

議会で、当日、最初に案を出したときに、
いろんな質問も出ました。

障害者にとってのコミュニケーション手段は、
手話だけでなく、様々な方法があり、
盲の人の点字なども含まれると思うが、
その中であえて『手話』に特化して、
フォーカスする条例の意味は?
という質問には・・・・

手話は、独自の文法を持った言語であり、
それは、一般の言語に匹敵するもの。
ひとつの言語として、「手話」を位置付けたい。
という回答もありました。

このほか、『市町村との連携』が重要だという指摘も!
県で決議しても、
実際には、県民に身近なのは、
市町村レベルの地元ということになり、
県と市町村の連携はかなり重要な課題だと、
確認されていました。

それから、『ろう者』という言葉。
今回の条例の中には、
「ろう者」と言う言葉が盛り込まれています。
手話という言語を取り上げる際に、
手話を一番必要としていて、
日ごろから大事に言葉として使っているろう者の存在を抜きに、
この条例は語れないということですね。

ちなみに、最近では、ろうあ者という言葉でなく、
「ろう者」という言い方が広がっていました。
聞こえなくても、音声言語の話せる人は多く、
聴こえない=話せない という図式はもはや崩れているわけで、
聴こえないという表現にわざわざ、
話せないことを意味する「あ」と言う意味をつける必要が、
なくなってきているというわけです。
条例では、このろう者の存在も重要視され、
それが、文面にも盛り込まれたんですね。

世の中、どんどん変わってきていますね。
ヤスは、実家が神奈川県!
ろう者のご両親も、喜んでいると思う。

南も、手話歴30年の中で、
「手話は言語じゃない」と、多くのろうの友達が、
言われている現場を目の当たりにしてきました。
通じて、みんなが話して、日常使っているまさに言語なのに!!
と思うと、とても悔しい気持ちもありました。
そんなこともあって、
県が、手話を「言語」と認めたことは、感動的でした。

今、各県だけでなく、
国でも、手話言語法を成立させようという動きがあります。
都道府県レベルを超えて、国でも法律が成立するといいですね。

ヤスは、ろうの子供達と、毎日たくさんふれあっています。
その子供たちが、小中高校、大学を経て、会社に勤めたり、
20年後くらいには、
みんな、大きくなって、社会に出て行きます。
そのころ、社会が今よりもっと、変わって、
聴こえる人の中にも、
手話やろう者? うんうん、よくわかるよ!!
と理解を示す人が増え、
子供たちが、多くの人と出会っていける社会に、
なっていってほしいと思います。

皆さんも、手話にたくさん触れて、
理解の輪を広げてほしいです。

今年も、いい1年にしたいですね。

また、お会いしましょう。
さようなら~~~~~~~~~~~~~~~~!!

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