ろう者カップルの結婚式・披露宴~情報保障の工夫②
この春、司会を承ったろう者カップルの、
結婚式と披露宴の、情報保障のお話です。
上の写真は、
披露宴で新郎新婦が座る高砂の様子。
手前に写っているのは、
大きなスケッチブックと、マジックです。
これは、まだ、
宴が始まる前に撮ったものですが、
このマジックなどは、
本番までに片づけられたわけではありません。
これから、本番こそ、思いきり活躍するのです。
今回の披露宴では、
列席者の半数が、ろう者のみなさんだったことから、
宴会場スタッフの皆さんも、
手話通訳に頼りっきりになることなく、
自ら、できることをやろうと、
いろいろ工夫をされていました。
キャプテンからは、事前に、
「聴こえないお客様に、お声掛けするのにとき、
肩をたたくのは、失礼になりませんか?」
などの質問をいただいたり、
また、会場では、演出上、全ての明かりが消えてしまうと、
ろうの方にとって、聴こえないうえに見えなくなることから、
「真っ暗にならないよう、気を付けたほうが、いいですよね。」
などの、確認もいただきました。
こうしたことは、
なんとなく聴こえない方を見ているだけでは、
気づかないことです。
スタッフの皆さんは、
ろう者カップルの披露宴を準備するに当たり、
幸せのスタートを、心を込めて応援しようと、
前もって、必要事項を、相談をされていたのです。
その中の一つが、
写真のスケッチブックでした。
実は、このスケッチブックには、
日ごろキャプテンが、披露宴で出している
様々な合図や説明が、
書かれていたのです。
「新郎新婦 お立ち下さい」
「お座りください」
「そろそろ お色直しの時間です」
など、普段なら、そっと、
新郎新婦のそばで、
ささやくように声掛けする そのセリフが、
全てスケッチブックに書かれていて、
新郎新婦に伝えられていったのです。驚!!
さらに、そのほか、必要事項が発生したら、
さっと筆談で、気軽に相談できるようにと、
マジックペンも準備されていたようです。
このスケッチブックは、
キャプテン一人が持っていたわけでなく、
例えば、
待ち時間のウエルカムドリンク会場や、
チャペルの式から、披露宴会場への移動時にも、
お客様を案内するため、
いろんなスタッフの方が、それぞれ持っておられました。
「受け付けはこちらです。」
「そろそろ、移動のお時間です。」
「5階へは、エレベーターをご利用ください。」
などと書かれていて、
これを、ページをめくってお客様に示しながら、
コミュニケーションを取ろうとしていたのです。
こうしたことも、全て、
スタッフの皆さんが、事前に相談され、
必要な内容がまとめられていたようです。
今まで、いろんな披露宴に、
立ち会わせていただいていますが、
このように丁寧にコミュニケーションに取り組む
宴会場は少なく、
「前例のないことでも、
自分たちができることは、心を込めてチャレンジしよう!」
という、チームのみなさんの気持ちが、
伝わってくる宴でした。
聴こえない方の披露宴は、
けして、手話のできる司会者だけでも、
手話通訳者だけでもなく、
宴会場チームを含む、
全てのスタッフが力を合わせて、
コミュニケーションの工夫をすることで、
とても暖かいものになるのだと、
改めて実感させていただきました。
さて、
ろうの方の結婚式・披露宴については、
さらに、書かせていただきたいことがありますので、
また、改めて。
新婚カップルの皆さんの、
健やかで元気あふれる毎日を、お祈りして!!
感謝。