ろう運動の恩師がが亡くなりました。

image/2015-10-29T223A293A29-1.JPG

この手話を見て、コラコラ!!と思う方は、
かなりの手話通です。笑
これは、私が大学を卒業したばかりのころ、
ろうの先生に教えていただいた手話です。
もちろん!!まじめな授業の時間に!ではありません。笑
毎週、その先生が、連れて行ってくれた飲み屋さんで、
教えてくれた表現です。

その先生は、とても頭がよく、
ろう者の相談役、ろう運動の指導者としても、
活躍されており、
数々の団体の代表や理事なども務めておられたエライ方です。
でも、この方は、授業以外では、
とても面白く、飲み会が大好きで、
いつも冗談ばかり言っておられました。

私は、大学を卒業して、
しかも、大阪から東京にきたばかりだったので、
社会のこともあまりよくわかっていない中、
この先生は、私をとてもかわいがってくださいました。
「聴覚障害者向け国語教室」の、
講師をされるとき、私を助手にしてくださったのです。
それから、数年、
私はいつも、先生のお手伝いをしながら、
みんなと一緒に、飲み会に連れて行ってもらいました。

その時、教えてもらったのが、写真の表現です。
その先生は、
真剣にやるときはやるが、あとは、
手話=酒話=ジョークと下ネタ!!
という実に、振れ幅の大きい方でした!笑
もちろんこれは・・・フフフ・・・大人の手話です。
わかったアナタも、
文字での解説は、ご遠慮ください。笑

この方は、のちに、ご自分がガンになり、
正式に遺言を書こうとしたら、
確認作業のための、公証人による読み聞かせは、
直接話すことがルールであり、通訳をはさめない!
という法律があることが判明。
それでは「聴こえない人は、永遠に遺言を書くことができない!」と、
自ら、法律を変える運動をされ、
さらに、その時のガンは、大手術でほぼ取りきれ、
そのあと、長い間お元気で、
再び大好きなお酒もたしなんでおられたという強者でもあります。

この時私は、あらためて、
先生のすごさと強さを教えてもらったように思います。
元気に楽しく、そして必要なときには、堂々と戦う!!
みんなにやさしく、面白く、
酒のみで、ちょっとスケベで、
温泉旅行とか、海外とか、とにかくいろいろ出かけて、
いろんな人に会って!
そして、次々に、世の中を変えていった・・・
この先生を慕う人は、
全国にどれくらいいるだろうか。

その先生が、日曜日に亡くなられたと、
知らせが入りました。
さびしくなると思います。

私はその先生のことを思い浮かべるたび、
写真の表現を思い出します。
これは、かなりイケナイ手話ですが(笑)、
でも、これを教えてもらったことは、私の誇りです。

手話は、言葉なんだよ。
だから、まじめなこともきちんと話すけど、
やっぱり、不真面目なこともいっぱい話さないと、
本当の言葉じゃないだろう!!
さあ、一緒に飲みに行こう!!

今でも、そうおっしゃる先生の、手と笑顔が、
浮かんできます。
本当にありがとうございます。

ご冥福をお祈りしますが、
やはり、天国でも、不真面目な飲み会(笑)を開いてほしいと思います。
大好きだった先生。
とても寂しいけど、
ここから、しばらく、私たちの世代が、
先生のようには、すごくないかもしれないけど、
少し頑張って、
先人の思いを、また、未来につなげていかなければと思います。

今思い返せば、先生といつから知り合いだったのか、
最初にどうやって出会ったのか、どうしても思い出せません。
また、飲み会をご一緒できると思っていましたが、残念でなりません。

ご葬儀に伺いたいと思います。
あふれるほどの人が集まると思いますが、
私もその片隅に。
先生、本当に、ありがとうございました。