齋藤陽道展「なにものか」2015年11/8~23日

ろう者の写真家 斉藤陽道くんが、
秋葉原で写真展を開いています。

私がとても素敵だなと思うのは、
彼が、素晴らしい写真を携えてめぐり合う、
様々な方々との、交流です。
ここまで何回も開かれている各地の写真展では、
詩人や、作家など、異業種のアーティストたちとの対談を、
筆談で行い、スクリーンに映し出して公開しています。
その間、多くのファンは、会場で、
水を打ったように静かに、その対談を見守ります。
聴こえないがゆえの壁を、美しき静寂に変え、
多くのファンが、筆談のための小さなノートを持って集まる写真展には、
感銘を受けます。
一人のアーティストの、生き方が、そこに表われているからです。

私も、期間中に伺いたいと思っています。

齋藤陽道「なにものか」.jpg

日本財団アール・ブリュット美術館合同企画展2014-2015
ひとがはじめからもっている力「TURN/陸から海へ」関連企画

齋藤陽道展「なにものか」
 
【とき】
2015年11月8日 (日)ー11月23日 (月・祝)
12:00ー19:00(最終日は17:00まで)
【ところ】
3331Arts Chiyoda 1F 3331ギャラリー
東京都千代田区外神田6丁目11-14 
http://www.3331.jp/access/ 
【入場料】
無料

【2015】44横切る猿の横姿.jpg
(これも、斎藤君の作品です!)
 
もうすでにそこにいるものと鮮烈にふつうに出会うこと。
異形のものを言葉もなく迎え入れる歓待の姿勢を知ること。
何ひとつとして交わるものがない他者と向き合いながらも
鏡に映された己と出会っているような、
それでも似る一縷の共通点を見ること。
 
思えば、ぼくが写真をやる衝動は
この3つの好奇心から始まっていた。
この3つを束にして編みこみ、ひとつの糸とさせることは、
写真をまとめる時の基本的な姿勢であり、
神様のような「なにものか」と出会うための
ひとつの心構えでもあったと今回、気づく。
 
4つのアール・ブリュット美術館を巡って、
そこにまつわる施設、ひと、食事、空気、土地に触れながら、
ふくらんでいくばかりのわからなさと、
そことは別のところでより明晰になってくる
直感との間で共鳴するリズムにうながされるまま
10体のなにものかを形にした。
そして、名前もなく、だれも知らない、
生まれたてのなにものかがただそこにいることの
静かなざわめきを増幅させるために、写した。
 
2015.9.20 齋藤陽道