耳栓をして街に出てみる!!

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神奈川県の短大のもみじは、
上のほうから、どんどん赤くなってきました。
見事な燃えるような赤です。

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雨模様だった今週は、
学生たちに、グループに分かれて、
耳栓をして、学校周辺の道を歩き、
7か所のポイントを回ってくるという、
体験学習を、してもらいました。

全員、耳栓をして、「音声会話禁止」で、
身振り手振りや、習った手話や筆談で、
コミュニケーションしながら、
街を歩いてもらう体験です。

地図をもらったみんなは、
15分か20分で、コースを回り終えて、
帰ってきてくれます。

耳栓といっても、100円ショップのあの、
ふわふわの耳栓ですから、
大きな音などは、はっきり聞こえるのですが、
それでも、学生たちは、
「自転車やバイクに気づきにくい」
「特にハイブリッド車は、後ろから来たら、わからない。」
それから、
「先に行った人を、声を使わずに呼び戻すのは大変。」
「傘を持っての手話や筆談は、難しい。」
「コミュニケーションがとりづらく、いつもなら声ですぐ、
『紅葉がきれいだね』とか『寒いね』などと話すところも、
重要でないと思われると、『ま、いいか』と思って話さなかった。
これって、聴者に囲まれた聞こえない人の気持ち?」
「頑張れば、ジェスチャーって、けっこう便利。すごく通じた!」
などなど、様々な気づきを得て、戻ってきてくれます。
その日の授業の始まりと終わりでは、
みんなの気持ちが、大きく変わっているのが感じられ、
いつも、感動させてもらっています。

こうした体験を通じて、
聞こえない人が、日ごろ、どんな風に過ごしているのか、
自分たちなりに考えてもらうことは、
手話の授業では、とても大切だと思っています。

もしよかったら、あなたも、
耳栓をして、家の周りを歩いてみてください。
ほんの15分か20分でも、
自分の足で歩くことで、
いつもとは違う、ちょっとしたことに、
気づいたりするかもしれません。

耳栓をしたって、けっこう聞こえるし、
ろう者になれるわけではありません。
でも、ほんの少し、ものの見方を変えると、
自分ではあまり想像していなかったことに、
気づいたりすることもあります。
くれぐれも、事故には注意して、
興味のある方は、ぜひやってみてくださいね。

また、これは、聞こえないことがいかに危険かとか、
いかに不便かを知るための体験ではありません。
私は、この体験を、
「聞こえることと、聞こえないことの違い」に気づくための、
学習だと位置づけています。
違いを知ってこそ、相手への理解が深まる。
手話も、外国語も、
そうした相手の立場や、自分との違いを知ることで、
さらに興味深く、学んでいけるものだと思います。

この時期、午後の授業が終わる5時ごろには、
もう、あたりは暗くなってきました。
もみじも間もなく、真っ赤になり、
やがて散りゆく冬も間近です。