手話通訳士試験合格率2.1%に思う
昨年秋に実施された手話通訳士試験の結果が、
発表されました。
例年、合格率はおよそ10~20%でしたが、
今回、発表されたのは、2.1%。
はじめ、それを話し始めた友人の数字に、
「この人、一桁間違えてる!?ダメじゃん!」と思い込んで、
改めて、インターネットで確認しなおしたほどの、
低い合格率でした。汗!
公式に発表されている、今回第27回手話通訳士試験は、
・受験者数 1,076人
・合格者数 23人
・合格率 2.1%
だったのです。
もちろん、関係者は一様に驚き、
手話言語条例や法律に、
結び付けていかなければならない重要なタイミングで、
これでは、先が思いやられる・・
などの、声も漏れてきています。
ただ、最近、
手話通訳士資格を持った方とお仕事をさせていただくとき、
思うこと気づくことは、いくつかあります。
手話通訳士資格を持っている人の中には、
私から見ても素晴らしい!と思える通訳をされる方や、
優秀な指導者もいますが、
なかなかろう者の手話を読み取れない方、
おぼつかない聞き取り通訳で、ろう者にきちんと意味を伝えきれず、
自信が持てない!と言っている方も大勢います。
手話通訳士試験を合格されている方は、
皆さん勉強やトレーニングも積んで、
基礎能力が身についていると、
試験によって、証明された方々です。
その中で、さすがと思える優秀な方も大勢いる中、
一方で、現場ではなかなか実力を発揮できない人もいるのは、
正直なところ事実でもあります。
また、通訳士資格を取ったばかりで、
最初、つまづいたように見えても、
その後、たくさんの経験を積んで、
いろんな能力・判断力を身につけ、
2~3年すると、
驚くほど豊かな通訳ができるようになっている方もおられます。
ここからもわかるように、
手話通訳士の試験では、
圧倒的能力で合格された方は、もちろん、
現場で即戦力となる様々な活動に入っていくわけですが、
今後の活躍に期待を見込まれて、伸びしろ分も想定して、
合格判定を受けた人は、基本能力はあるにしても、
その後、伸びるも伸びないも、本人次第ということになります。
この伸びしろ分の期待がはずれると、
現場では、なかなかフットワークよく、
動けない場合も出てくることになります。
この辺の加減は、難しく、
このところ、合格率を高め、現場に勢いを吹き込みたいという、
業界の風向きから、
「必要にたる基本的最低限の能力
(と言ってもこれでも一般的にはかなり高度ではあるのですが・・)」重視で、
見込み期待値の高い人に出されていた合格判定が、
現場で能力を発揮しづらい現実を前に、
今回、大きく落ち込んだのではないかと、私は見ています。
(これは、関係者などに取材したものでなく、南自身の、個人的感想です。
しかし、この考えに「なるほど」と思って下さる方も、
いらっしゃると確信します。)
手話通訳士試験は、毎年、そのあり方も常々見直され、
年々質を上げながら、今日に至っています。
その中で出された、この厳しい判断は、
苦渋の決断ともいえると思います。
通訳士は増やしたい。増えてもらわなければ困る。
しかし、その通訳士の質が下がったのでは、
結果として、
大本として願われた、ろう者・聴覚障害者の福祉に反する。
毎年この時期には、私達も、
多くの通訳士の誕生で、喜びに沸くのですが、
また、そのたび、
「手話通訳士試験合格は、ゴールではなく、
ここからこそが始まりだ!!」
という思いも新たにします。
確かに手話通訳士の資格を取ることは、
たくさんの勉強や、現場での訓練も必要で、
まさに高校や大学受験のように、
一生懸命やらなければならない場面も、たくさんあります。
でも、これは、ある一定の能力がなければ、
それを必要な人の役に立てないからであり、
例えば、保育士や、看護師や、医師や、
弁護士、理学療法士、言語聴覚士などなど・・・
こうした人々が、無免許で、生病法やまじないを
してもらっても困るのと同様に、
通訳者もまた、
きちんとした能力が保障された人でなければならないからです。
その中で、今回の、2.1%という数字は、
私達がもっと、現場でしっかりと活躍してくれる
能力も心も豊かな通訳者を、
本当に望んでいるのだという意思表示であり、
これは、手話を学ぶ多くの人にとって、
心に留めておくべき、大事な一件のように思います。
また、この合格率と審査方法に、問題を返す前に、
私達の、現場での後進の育成の方法、心がまえごと、
問い直す時が、来ているのだと実感します。
ちなみに、
こうした私心を述べるたび、必ずお伝えしていますが、
これは、「通訳者」と言う専門家を
みんなで育てたいと願う立ち位置で述べているものであり、
日々、「聴こえない人と友達になりたい」
「自分と友人のために、まずは自分の手で話したい」
そう思って手話を学ばれている方々の、
心をくじくものではありません。汗&笑
手話は、ヘタでもいいんです!!笑
思いを込めて、相手と付き合っていく中で、
通じたり通じなかったり、
そうやって、周りの人と共にやりとりを積み重ねていくことが、
コミュニケーションそのものです。
手話は、まず、出会いと心から。
聴こえない友達と通じ合う歓びはまた、
そのまま、聴こえない人々にとっても通じ合う歓びであり、
互いが、互いを思う心に勝るものはありません。
もちろん、手話通訳士試験自体、
その思いの延長線上になければ、
何事もなしえないことは、改めて、
多くの皆さんに、お伝えしておきたいと思います。
合格された皆さん、今回の数字の低さに、
おごらず、ビビらず、
ぜひ、心さわやかに現場にお越しください。
おめでとうございます!!笑
多くの方々も、
「うっわ~~~!! 難しいんじゃん。この資格!」
などと思わず(汗&笑)、
興味のある方は、まず、手を動かしてみること、
様々な出会いを楽しむところから!!
私達は、あなたが手話の扉を開けて、のびのびと、
楽しい世界へ飛び込んできてくださることを、
お待ちしています!!
いつも、長文、
読んでいただいて、本当にありがとうございます。
手話通訳士600番 南 瑠霞
(南の本名を知りたい方は、通訳士名簿をどうぞ!笑)
まだまだ枯れ木の季節ですが、空の向こうには、たくさんの希望が!
発表されました。
例年、合格率はおよそ10~20%でしたが、
今回、発表されたのは、2.1%。
はじめ、それを話し始めた友人の数字に、
「この人、一桁間違えてる!?ダメじゃん!」と思い込んで、
改めて、インターネットで確認しなおしたほどの、
低い合格率でした。汗!
公式に発表されている、今回第27回手話通訳士試験は、
・受験者数 1,076人
・合格者数 23人
・合格率 2.1%
だったのです。
もちろん、関係者は一様に驚き、
手話言語条例や法律に、
結び付けていかなければならない重要なタイミングで、
これでは、先が思いやられる・・
などの、声も漏れてきています。
ただ、最近、
手話通訳士資格を持った方とお仕事をさせていただくとき、
思うこと気づくことは、いくつかあります。
手話通訳士資格を持っている人の中には、
私から見ても素晴らしい!と思える通訳をされる方や、
優秀な指導者もいますが、
なかなかろう者の手話を読み取れない方、
おぼつかない聞き取り通訳で、ろう者にきちんと意味を伝えきれず、
自信が持てない!と言っている方も大勢います。
手話通訳士試験を合格されている方は、
皆さん勉強やトレーニングも積んで、
基礎能力が身についていると、
試験によって、証明された方々です。
その中で、さすがと思える優秀な方も大勢いる中、
一方で、現場ではなかなか実力を発揮できない人もいるのは、
正直なところ事実でもあります。
また、通訳士資格を取ったばかりで、
最初、つまづいたように見えても、
その後、たくさんの経験を積んで、
いろんな能力・判断力を身につけ、
2~3年すると、
驚くほど豊かな通訳ができるようになっている方もおられます。
ここからもわかるように、
手話通訳士の試験では、
圧倒的能力で合格された方は、もちろん、
現場で即戦力となる様々な活動に入っていくわけですが、
今後の活躍に期待を見込まれて、伸びしろ分も想定して、
合格判定を受けた人は、基本能力はあるにしても、
その後、伸びるも伸びないも、本人次第ということになります。
この伸びしろ分の期待がはずれると、
現場では、なかなかフットワークよく、
動けない場合も出てくることになります。
この辺の加減は、難しく、
このところ、合格率を高め、現場に勢いを吹き込みたいという、
業界の風向きから、
「必要にたる基本的最低限の能力
(と言ってもこれでも一般的にはかなり高度ではあるのですが・・)」重視で、
見込み期待値の高い人に出されていた合格判定が、
現場で能力を発揮しづらい現実を前に、
今回、大きく落ち込んだのではないかと、私は見ています。
(これは、関係者などに取材したものでなく、南自身の、個人的感想です。
しかし、この考えに「なるほど」と思って下さる方も、
いらっしゃると確信します。)
手話通訳士試験は、毎年、そのあり方も常々見直され、
年々質を上げながら、今日に至っています。
その中で出された、この厳しい判断は、
苦渋の決断ともいえると思います。
通訳士は増やしたい。増えてもらわなければ困る。
しかし、その通訳士の質が下がったのでは、
結果として、
大本として願われた、ろう者・聴覚障害者の福祉に反する。
毎年この時期には、私達も、
多くの通訳士の誕生で、喜びに沸くのですが、
また、そのたび、
「手話通訳士試験合格は、ゴールではなく、
ここからこそが始まりだ!!」
という思いも新たにします。
確かに手話通訳士の資格を取ることは、
たくさんの勉強や、現場での訓練も必要で、
まさに高校や大学受験のように、
一生懸命やらなければならない場面も、たくさんあります。
でも、これは、ある一定の能力がなければ、
それを必要な人の役に立てないからであり、
例えば、保育士や、看護師や、医師や、
弁護士、理学療法士、言語聴覚士などなど・・・
こうした人々が、無免許で、生病法やまじないを
してもらっても困るのと同様に、
通訳者もまた、
きちんとした能力が保障された人でなければならないからです。
その中で、今回の、2.1%という数字は、
私達がもっと、現場でしっかりと活躍してくれる
能力も心も豊かな通訳者を、
本当に望んでいるのだという意思表示であり、
これは、手話を学ぶ多くの人にとって、
心に留めておくべき、大事な一件のように思います。
また、この合格率と審査方法に、問題を返す前に、
私達の、現場での後進の育成の方法、心がまえごと、
問い直す時が、来ているのだと実感します。
ちなみに、
こうした私心を述べるたび、必ずお伝えしていますが、
これは、「通訳者」と言う専門家を
みんなで育てたいと願う立ち位置で述べているものであり、
日々、「聴こえない人と友達になりたい」
「自分と友人のために、まずは自分の手で話したい」
そう思って手話を学ばれている方々の、
心をくじくものではありません。汗&笑
手話は、ヘタでもいいんです!!笑
思いを込めて、相手と付き合っていく中で、
通じたり通じなかったり、
そうやって、周りの人と共にやりとりを積み重ねていくことが、
コミュニケーションそのものです。
手話は、まず、出会いと心から。
聴こえない友達と通じ合う歓びはまた、
そのまま、聴こえない人々にとっても通じ合う歓びであり、
互いが、互いを思う心に勝るものはありません。
もちろん、手話通訳士試験自体、
その思いの延長線上になければ、
何事もなしえないことは、改めて、
多くの皆さんに、お伝えしておきたいと思います。
合格された皆さん、今回の数字の低さに、
おごらず、ビビらず、
ぜひ、心さわやかに現場にお越しください。
おめでとうございます!!笑
多くの方々も、
「うっわ~~~!! 難しいんじゃん。この資格!」
などと思わず(汗&笑)、
興味のある方は、まず、手を動かしてみること、
様々な出会いを楽しむところから!!
私達は、あなたが手話の扉を開けて、のびのびと、
楽しい世界へ飛び込んできてくださることを、
お待ちしています!!
いつも、長文、
読んでいただいて、本当にありがとうございます。
手話通訳士600番 南 瑠霞
(南の本名を知りたい方は、通訳士名簿をどうぞ!笑)
まだまだ枯れ木の季節ですが、空の向こうには、たくさんの希望が!