2017.01.29「神話(一年目)」齋藤陽道 写真展


「ろう者の」写真家ではない!!
「写真家」になった僕の耳が、たまたま聞こえなかっただけだ!!
彼が語った言葉は、彼のとらえる透明な光とともに、
私の目と心に差し込んできた。
齋藤 陽道君の、写真展が、東京都府中市で開かれます。
あなたも、行ってみてください!!


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「神話(一年目)」 齋藤 陽道 写真展
2017年1月29日 10:00〜20:00頃
美好町一・二丁目公会堂 入場自由
〒183-0045 東京都府中市美好町1丁目27

会場は、JR南武線・京王線の分倍河原駅から徒歩7分。
公会堂は美好町公園のなかにあります。
近くにセブンイレブン、目の前に美味しいコーヒー屋さんエレファンティーノがあります。


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~ 齋藤 陽道 君、本人からメッセージが届いています ~


2015年10月24日、子どもが生まれました。
ぼくはお産の一部始終に立ち会いました。
朝の9:46分、産道をくぐりぬけて、羊水につかってのぼせた顔を
さらにまっかにして泣いて、たぶんきっと産声をあげながら、
すこしばかりの血にまみれて、そうして生まれてきました。

まだ名前もない、血まみれのそれが、母親の腹の上で寝ながら、
すうっと開けた眼に、そのまなざしにぼくは射抜かれました。

「赤ちゃん」「ぼくの子ども」と、言うこともはばかられました。
無力な存在なんかではありませんでした。
何もみていないようでありながら、なにもかも見てきたようなまなざしでした。
それは、まるでなんでも知っている全知の存在でした。
思えば、九ヶ月目にはいった胎児は、単細胞の形から始めて、
生物が試行錯誤してきた遺伝子の生態形態を辿りなおすといいます。
その種族の進化の末、いま現代にやってきた生命体。
すれは、すなわち、現代の今ここからにおいてはたしかに無力かもしれません。
でも、何十億年の凝縮された歴史を見てきたばかりの、存在でもありました。
そんなことを納得させられる、まなざしでした。

きみはもうなんでも知っている。

そんな、畏怖する想いがまずありました。
「子育て」なんてとんでもない、
「親育て」されているという自覚がしぜんと生まれました。
そしていま一年目になります。あ、ちょうど今日で一歳三ヶ月だ。
ぼくら夫婦は聞こえないので、そこから起こる困ったことや、
だからこそおもしろいこともいろいろありました。
(つい昨日「だいじょうぶ」「すき」「てんぐ」の言葉を手話で言い始めたり!)

てんやわんやしながらも、子を通して見る世界を後追いしてみれば、
そこには思ってもいなかったものが豊かに満ちていて、目を見張ることがしばしばです。
子を抱きながら、日常と地続きにある神聖な世界の気配を感じるようになりました。

ちいさなからだのこの子が、ときとして、
この世界と張りあえるほどの稀有な存在感を見せることがあります。

それを見たいと、思っています。
日本のそこかしこにあるありふれた絶景に、
子とその母親、いつかは得体の知れないなにものかが、
たんたんと立つ光景を見たいと思っています。

そんな思いが「神話」というシリーズを始動させました。

なぜこのような写真を撮ったのか、なぜ神話というタイトルなのか、
それはまだぼくにもわかりません。
ただただ、写真が先行している。それについていきたいと思うのです。

『七つまでは神のうち』という言葉がなぜか妙に頭にひっかかっているので、
このシリーズは子が7歳になる2022年までをメドに考えています。

正直なところ、言葉にして伝えられる明快なテーマがあるわけでもなく、
直感につきうごかされて作っているので、家族3人でいろんなところにいっては
試行錯誤しているので、とてもお金がかかります。
加えて、今回の1日限りの会場代は9700円で、プリント原価は30万円です。
ばかでかいプリントで見せたいとおもっているので、めっちゃ高いです。
書いててめまいがする。。。
裕福なわけでもないのになんでこんなハードなことしちゃうのかしら、と自分で思います。
でも「そうしないといけないぞ」と写真たちにせっつかれているので、そうするしかありません。

一回の撮影につき、がんばって節約しても1週間7万円というところでしょうか。
ぼくは写真がうまいので大きく伸ばしたいと思えるような、
いろんな角度からのベストショットが20カットは撮れるのが救いではあります。ふふふ。

それでも、手弁当では限界があります。
その資金を捻出するためにバイトを探したりすれば
1日ごとにおそろしい成長を見せる子と世界の関わりが撮れないというジレンマに陥っています。

そこで、1年ごとに1日だけでもなにかしらの形で発表しては、
よき撮影場所の情報や、支援金、寄付、投げ銭をつのりたいとおもっています。

来月、引っ越しをする予定で泣く泣く手放すものをももっていきます。
雑貨や古本、カメラ道具などがあります、こちら値札はつけません。
お気持ちを加えて、入れてくれるとうれしいです。

ほかにも、ただの日常をうつした写真で、チョットした写真集ZINEっていうのかな、
そんな感じのものもつくろうとおもいます。
余分に作り置きする余裕はないので、予約制になってしまいますが、
こちらも、上記と同様に、値札はつけません。お気持ちを加えていただけたら。。

ほかにも直接、応援してもいいよっっていう方がいましたら、ぜひに。
なにかしらのお礼を、考えます。

いろんな方法があるとおもうのですが、頭がおっつかないので、
いまはこのような形でやっていけたらと思っています。

もしも上記のお気持ちをいただけたうえで今後の詳細が知りたいという方が
いらっしゃれば、よければいちどこちらのアドレスにご返信ください。
今後、撮影したところや経過のなんやかやを書いたメールを不定期で(ぼくは
とんでもない筆不精なので、定期的に!と胸を張って言えません)お送りします。

ながーくなりましたが、お知らせは以上です。
読んでくださってありがとうございます。

それでは、2017年1月29日、もしくは来年の神話発表、
またさては7年後の神話展示(!?)の日に、家族ともども会いできますこと、楽しみにしております。



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齋藤 陽道(さいとう・はるみち) 写真家。
第33回 キャノン写真新世紀優秀賞/平成26年度日本写真家協会新人賞ほか。
http://www.saitoharumichi.com/