習ったはずの手話が読み取れない!?


え?その手話習ってないです?!
ーー いいえ!習ってるのに 読めていないのかも!!! 汗

手話を習い始めると
とても早い段階で「名前」という手話を教えます。

この手話
関東では 手のひらに親指の指紋の部分をあてて
表現します。
これは かつて はんこのかわりに 拇印をおしていたことに
由来するのだそうです。


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いつも、保育士の卵の学生たちと、
手話の勉強をしています。
講師の私は ここでは 通常 音声なしで
手話を手話で 指導しています。

声がなくても 耳を使わなくても
通じ合える言葉である「手話」を
わざわざ声をつけて覚えるのはもったいないし
後々のことを考えると
声なしで学んだ方が 学生達の上達につながると思うからです。

声なしの授業だと、
いつの間にか、学生たちは、自然に、
こちらの身振りや日本手話的表現が、
読めるようになってきます。
目で見るコツが、わかってくると、
音声に頼らず、相手の手話や口元が、
読み取れるようになってくるからのようです。

関東でよく使われる
親指で拇印を押す「名前」という手話。

この手話を、音声付きで覚えた人は、
相手が、ちょっとでも、違った変形表現をすると、
読み取れず、混乱してしまうことがよくあります。
「え?その手話、何?まだ習ってない!わからない!」
と言います。

ところが、音声なしの授業で、手話を見慣れている人は、
手話経験が、ほんの数週間でも、
話の流れをくんで、
この親指を、腕に当てようが、胸に当てようが、
ちゃんと「名前」と読み取ってくれることがほとんどです。

これは、手話指導をしていく中で、
とても興味深いことです。

相手が話している内容の背景を組んで、
そのうえで単語を読んでいるかどうか?
これが、実は、
手話が読み取れるかどうかの大きな分かれ道になります。
音声を使わず、目で見て読むことになれると、
相手の話の全体の流れをつかむ余裕が生まれます。

一方、音声付きで学んだ人は、
日ごろ耳から理解することに慣れてしまっており、
手話自体に目がフォーカスしていないことも多いように思います。
音声なしの手話や、ろう者の手話表現は、
耳からのガイドがないので、
本当は知っているはずの単語も、
パニックになって余計読み取れなくなってしまうのです。汗&笑

手話が読み取れるかどうかは、
その人のもともとの能力の問題というより、
たぶん、その人が慌てて緊張しすぎてしまっているということのほうが、
大きいように感じます。笑
慌てない、パニックにならない!
そして、相手を見る余裕が持てる。
その点において、声のない授業は、とても良い!!のだと、いつも感じています。

手話は、ろうの人によって、省略形で表現したり、
文法の流れで、音声の音便のように、向きや回数が変わったり、
話の流れの中で、様々に変化します。
習ったはずの単語が、そうやって見失われてしまったりします。
アナタも、まずは、落ち着いて!!
手話を慌てず見てみてください。
あなたの習った単語も、その話の中には、たくさん盛り込まれているはずです。

はい!
深呼吸!!笑

皆さんが、楽しく手話を学んでいただけますように。
感謝。


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ちなみに、関西から西では、
「名前」は、バッヂで表現する方が、多いようです。
アナタは、どちらの表現で、習いましたか?