苦手な読み取り通訳、どうやって克服する?
ろうの人の手話がちゃんと読み取れない・・・
手話通訳をめざして学ぶ人の中から、
そんな悩みをよくお聞きします。
読みとれない・・といっても、
中身は、様々なのですが、
特に読み取りの、同時通訳について、ちょっと、
お話しましょう。
( 読み取りといっても、
私たちの中には、手話の映像を見て、
文字に起こして記録する・・・
なんて、仕事もありますが、
今日は、それは置いておいて・・・)
読み取りの音声同時通訳と言うのは、
手話を見て、
それを、日本語に変えて話していく作業です。
それがうまくできない・・・・
と言っている方の、ハードルは、
大きく3種類あるように思います。
① そもそも手話がちゃんと読みとれない。
⇒ こういう方は、もっと手話の勉強が進めば、
読み取りは、うまくなるんじゃないかなあ・・・
特にろうの方の日本手話は、音声対応手話とは、
文法が違うため、まずは、日本手話自体を、
たくさん見て、慣れていけば、
ろうの方のお話されている内容が、
わかるようになって来る可能性大!!
がんばって!!
② 手話の話はわかっていても、
どう訳していいか、わからない。
⇒ 以前、
「ろうの人が手話の『単語』で言っていないことを、
日本語で勝手に作っていいの?」と言う質問がありました。
答は「そう『読み取れている』なら、
それを意味する日本語を、組み立てる必要がある。」です。
手話には、手話の文法があり、
空間の位置関係や、ちょっとした顔の表情・角度で、
文意はどんどん表現されていきます。
決して手話は、単語が羅列されているだけの言葉ではありません。
ですから、相手の手話から、確かにそういう意味が読み取れたなら、
それは、相手が本当に話していることです。
それを、日本語でうまく伝わるように文を作ること、
それは「勝手に」したことではなく、
それこそが「通訳」そのものです!!笑
日本手話は、並んでいる単語の形だけがすべてではありません。
日本語とは違う文法を持ち、語順も違う、一つの言語。
それを、単語だけ読み取っても、当然、内容は伝えられません。
もし、あなたの見た手話文が、
きちんと意味のわかる内容なら、
それを、いったん頭の中で理解して、
頭の中のイメージを、音声で描写しなおせばいいのです。
実はこれ、手話だけでなく、
全ての言語通訳の方がされていること。
言語通訳は、単語だけを拾って日本語に変えても、通じない。
だから、自分を信じて、自分の日本語で話すことが、
とても大事なんですね。
こういう悩みをお持ちの方は、
いったん頭の中をすっきりさせて、
伝わってきた手話を、
ゆっくり「自分の日本語」で話す練習をしてみてください。
遅くても、下手でも大丈夫!
まずやってみれば、コツがわかってくると思います。
一つの手話文を見ても、それを意味する日本語文は、何通りもあります。
場面に合わせて、どんな日本語表現がいいか考えられるようになってくれば、
あなたは、ずっと通訳者に近づいています。
がんばって!!
③ 日本語にする方法じゃなくって、
そもそも、その日本語が危うい・・・・汗
⇒ ピンチです。汗&笑
それじゃ、どんなに手話の天才になっても、
通訳は、できない・・・・汗汗・・・・
出直しが必要です!!大汗
目指しているのが、ろう者との会話を楽しみ、
人生を豊かにすることであれば、
あなたの手話生活は、とても有意義です。
ぜひ、楽しく手話を続けてください。
素敵な人間関係がたくさん作れると思います。
しかし!!
もし、万一、あなたが通訳者をめざしているなら。。。汗
ぜひ、自分の日本語を、
一から、やり直してください。
あなたは、手話に関係なく、
人前で、きちんと日本語で話すことができますか?
実は、きちんと話せない、苦手、
と言う人も、たくさんいるかもしれません。
でも、通訳は、そもそもそれができなければ、
仕事になりません。
手話通訳者は、人に言葉を伝えるメッセンジャーです。
ですから、
通訳する言語の両方が、きちんと使いこなせなければ、
用をたすことはできません。
英語と日本語、フランス語と日本語、中国語と日本語、
それぞれ通訳者の方は、二つの言語を使って活動されています。
自国語が、うまく操れない人は、
通訳には、向きません・・・・
(もちろん、それでも誰もいないよりは、
相手の話の分かる人がいれば、
助かる場合はたくさんありますから、
能力ゼロ!と言う意味ではありません。汗)
ただ、もしあなたが、
よりよい、きちんとした通訳者をめざすなら、
母語である日本語を豊かにしましょう。
これ、必須です。汗
さて、
あなたは、どのケース?
ちょっと、考えてみてくださいね。
でも!
手話の目標は、通訳者になることだけが
すべてではありません。
新しい言葉を知り、新しい友達と出会い、
豊かな人間関係を築くことは、
素晴らしいことです。
だから、みなさん、
通訳者になることとは、関係なく
手話は、楽しく続けましょう!!笑
もちろん、私も、人生いろいろ、様々な出来事がある中、
細くても、長く手話を続けたいと願っている一人です。
読み取り通訳でお悩みの皆さん、
ぜひ、こうした考えも、参考にされてください。
ありがとうございます。
4月の東京。
街の緑が、輝く季節になりました。