心ある手話通訳に感動!!
今週、都内のとある手話サークルにお邪魔した時、
とてもいい手話通訳に出会い、
感動しました。
その方は、まだ初心者の方で、
サークルの様々なイベントや連絡事項の説明を、
勉強のために通訳されていました。
もちろん初心者なので、そんなにペラペラ手話で話せるわけでなく、
語彙も少ないのですが、
なぜ、この方の手話通訳がそんなに良かったのでしょうか?
それは、その方がとても誠実に、通訳をされていたからです。
まず、その方は、練習のために通訳をしていたので、
スピードがとても遅かった!汗
遅かったけれど、
その方は、知っている単語、学んだ単語は、
とてもきちんときれいに表現されていました。
また、わからない時は、必ず手を止め、
通訳の先輩に表現方法を聞き、それを丁寧に再現し、
決して、表現を飛ばしたり、
いい加減な手の形でごまかすことがなかったのです。
サークルの連絡事項は、かなり多量にあったので、
普通なら、途中で心が折れて、
練習なんだから、まあいいや・・なんて思い、
いい加減な手話でも、とにかくやって、
適当に終わらせてしまいたくなるような場面でした。
何せ、ちゃんとできなくても、初心者ですから、
聞こえない人も、たとえわかりにくかったとしても、
「一生懸命やったね。よかったです。」
と、その方をほめてくれたかもしれません。
わからなくなれば、途中で、ごめんなさいと言って、
誰かに代わってもらってもおかしくなかったケースです。
でも、その方は、違いました。
最後まで、心折れることなく、
わからない時は、いい加減な表現をせず、
きちんと手を止め、話を止め、やり方を確かめ、
一つ一つ、丁寧に、
連絡事項を通訳していったのです。
時間はかかりましたが、
サークルの皆さんも、優しく見守っておられました。
その方は、とうとう最後まで、きちんと手話通訳を終え、
サークルの連絡事項は、きちんとろうの人にも伝わりました。
その方の通訳は、遅い!ということを除けば、
完ぺきだったのです!!
この方は、通訳で最も大事な、
「わからない時は、話を止めて、聞き直す」ということを、
初心者であったにもかかわらず、責任を持って行い、
内容が、最後まで、きちんとろうの方に伝わったというわけです。
もちろん、正式な手話通訳者なら、
さらにスピードも速く、さっさとできたかもしれませんが、
でも、私は、この方の場合は、満点だと思いました。
下手でも、手話が分からなくても、
自分が恥ずかしいかどうかとか、
早くできないことを申し訳なく思うとか、
そういうところに、心を持って行かず、
とても大事な「相手に、内容を伝える」ということに、
集中して頑張ったからです。
このような通訳なら、聞こえない方も、安心してみていられますし、
本人も、1回ずつきちんと確認しながら手話を表現していますから、
次に同じ表現が出てきたときは、必ず、自分の力でできるはずです。
正直、新人さんの手話通訳は、
見ていてハラハラすることも多いのですが(ごめんなさい。大汗!)
この方の通訳は、かなりの初心者であったにもかかわらず、
私も安心して見ていられました。
どんなに遅くても、語彙が少なくても、
ご本人が、通訳内容に責任を持ち、
わからないところは、一回一回全部ちゃんと先輩に尋ねて、
最後まで伝えきったからです!!
ああ!!
この方は、今はまだまだでも、これから、ぐんぐんうまくなるし、
「何が大事かわかっている」ので、いい通訳者になるだろうなあ!
と、思いました。
初心者であることや、語彙の少なさや、多少の手話のうまいヘタは、
実は、「本来の通訳」の、良し悪しには、あまり関係がないのです。
「誠実に伝えることに集中すること」こそが、心ある通訳というものだなーと、
さわやかな気持ちになりました。
手話には関係ありませんが、
私にも、いろんな場面で、苦手なことはたくさんあります。
その時、作業をテキトーにやってしまったり、
どうせへたくそなんだから、どうでもいいや、と思ってしまうこともよくあります。
そんな時、もし、この方ならどうするだろうかと思うと、
ちょっと恥ずかしい気持ちにもなりました。
大事に丁寧に、できることを誠実に行う心は、
何事をも、成し遂げるための、基本中の基本だけど、
多くの人が、忘れてしまっていたりもするように思います。
本当に、素敵な手話通訳を見せていただいて、
感動して、幸せな気持ちになりました。
良い1日でしたので、ご報告させていただきます。
ありがとうございます。
都内の道端には、この時期、いろんな花が咲いています。