手話あいらんどTVクロスカルチャー「ろう学校寄宿舎〜中高校生編」


手話あいらんどTVクロスカルチャー
今回は、ろう学校寄宿舎の指導員おやつが、
中高生たちとのふれあいについて
お話ししてくれています。



(簡単な内容)
手話あいらんどTVクロスカルチャー
おやつです。ろう者です。
南 瑠霞です。聞こえます。

おやつは、聾学校の寄宿舎の指導員です。
前回も、聞こえない子供達とのふれあいについて、
お話ししてもらいました。
小学部の子供達の様子でした。

今回は、中高生についてです。
まだ大人ではない、でも、小さな子供でもない、
という、難しいと仕事の子供達について、
お話ししてもらいましょう。

みんなの生活の様子や、
小学部の子供達との違いなども教えてください。

中高生のみんなは、部活があって、
それが終わったら、戻って、
ご飯を食べて、お風呂になります。
そのあと、宿題など勉強をして、
自由時間を過ごしたら寝るという流れです。

勉強時間は、一人一人によって違って、
30分から2時間くらいだと思います。

試験が近づくと、夜中の0時くらいまでは勉強してるかな。
消灯は、10時とか11時だけど、それを過ぎても、
大きい子たちは勉強することができます。
特に高3の子たちは、受験などもあるので、
毎晩遅くまで勉強している子もいます。

励まし方も難しいけど、
体は無理しないでね。とか、そういう声がけができるくらいかな。
勉強も難し過ぎて、教えられないから。笑
普通の親と同じですね。

聞こえる子たちと、聞こえないこの違いとかも、
聞きたいけど、
生活の様子や、コミュニケーションの取り方などを、
教えてください。

おやつは、自分も子供の頃、
寄宿舎で6年間過ごしました。
ある聞こえないカップルがいて、
よる自由時間に2人で話しているんだけど、
時間になって、男子棟女子棟に戻ったあと、
ビルの向こうの窓と窓から、ずっと手話で話ができる。
これは、聞こえる子たちにはできないことだね。
離れた場所でも手話で話し続けていられるというわけ。

ちょっと羨ましいかも。

それから、地震や家事などの非常時についてですが、
そういう時、緊急を振動で知らせる枕が、あります。
非常ボタンを押すとそれに連動して、
みんなの枕が震えます。
深夜でも、反応してそれで起きられるというシステムが導入されています。
そのほか、ボタンを押すと、強い光で知らせたり、
また、耳の聞こえづらい人の場合、
高い音の聞きづらい人が多いのだけど、
低い音なら聞きやすい場合もあるので、
低い音を出すベルなどもあります。
最近は、そう行った機会の技術も進んでいますね。

ろうの若者たちが好きなアイドルとかいる?

女子は、テレビを見ることが多く、
ドラマとか、歌番組とかが好きかな?
男子は、スマホのパズドラとか、
YouTubeを見ている子が多いかな。
勉強時間もあるので、
女子は、ドラマを録画することも多く、
自由時間に、それを早送りで見る子もいる。笑
他には、土日にため撮りしたのを見る子もいるかな。

早送りも字幕で見るのね。笑
デジタルのテレビだからみんな必ず字幕で見ています。
ニュースなども字幕で見てます。
みんなは新聞も読んでますね。

なんだか、寄宿舎にいる子は、
一般の子より勉強時間もしっかり決まっていて、
きちんと勉強している子が多いですね。笑

お小遣いの管理などもあって
それぞれの学校の寮によって違うけど、
ご両親からお預かりしたお金を、
毎月最初に、
「今月は、食事・娯楽・文具などでこれくらい使います。」と
予算を出してもらい、
それを見て、こちらから出してあげています。
また、月末には、こんな風に使いましたと結果を出してもらい、
それを、ご両親にお送りしています。

ディズニーランドに行きたいとか、そういう場合も、
親御さんと相談して、子供に渡しています。
子供によっては、行きたいと決まったら、
ラインで親に相談して、
それを、こちらに見せにくる子もいます。
「親も、ちゃんと許可しています。」という意味ですね。笑
相談すれば、お小遣いは、もらえるということですね。

お小遣いを無制限に渡すより、
子供達も、自分が何にいくら使っているかわかると、
勉強になるかも。笑

卒業後、仕事に入ることや、
一人暮らしをすることを考え、
その準備として、
一人暮らし体験などをすることもあります。
なんの料理をするか考えて、それに合わせて買い物に行って、
それをもとにご飯を作るとか、
日課を自分で考えて、お風呂や勉強時間などを管理するとか、
そういう体験もしてもらっています。

僕の想像では、朝食なら、
簡単なパンと牛乳くらいでもいいかなと思うのですが、
子供によっては、すごく色々料理を考えて、
気づくと朝食だけで1000円!とかいうこともあり、
そういう時も、また改めて相談したりしています。

大人でも難しいので、大変ですね。
でも、中高時代からそういうことを教えてもらえるのは、
いいなと思います。

社会に出る前に、一般のエチケットなども教えてもらえるの?

男子であれば、服装の身だしなみやヒゲ、
音のエチケットや、性教育も大切ですね。
男子だとあせも描くので、清潔感なども大切。
そう行ったことを指導員が準備して、
教えてあげることもあります。
夜に時間を決めて、みんなで集まって勉強したりします。
学校の授業とは別に、
寄宿舎でそう行ったこともしています。

子供達の生活に丁寧に付き合うのは大変だと思うけど。

価値観や生活のあり方も、それぞれが違う。
でも、基本的なことは、どこに行っても変わらないと思っている。
それをきちんとつかんで教えていかなければ、
社会に出たとき困るんじゃないかなと思っています。
その点は、真面目に伝える努力をしています。

寄宿舎の指導員の中には、聞こえる人も、
聞こえない人もいるけど、
聞こえない立場で寄宿舎の指導員として、
仕事をしているおやつにとって、
自分の役割とは?

同じ聾者同士で、分かり合えることも多いと思う。
子供達から、人との関わりについて尋ねられることもある。
例えば「すごく苦手な人とどうやって付き合って行くのか?」など、
社会に出れば、必ず向き合うことになる問題。
聞こえないならではの悩みなどもある。
全国の聾学校では、聞こえない先生も増えているけど、
実は、ろうの寄宿舎指導員は、
僕が知っている範囲全国でも10人程度。
まだまだ少ないので、
もっとろう者の寄宿舎指導員も増えるといいなと思っています。
そう行った全国のろう者寄宿舎指導員が集まって、
情報交換もして行きたいですね。
実際に、ろうの先生方の集まりはありますが、
寄宿舎のろうの指導員の集まりはないので、
きっかけがあれば、集まって情報交換などをして、
その輪を広げていければいいなと思います。

ろうの人生の先輩がいることは、
ろうの子供達にとって、素敵なことだと思います。
そういう輪が広がるといいなと思います。
ありがとうございました。

僕もまだまだの部分がたくさんあります。
子供達のために頑張って行きたいと思います。

また、お会いしましょう。
さようなら〜〜〜〜〜〜!!

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提供 : 手話あいらんど手話教室
http://www.shuwa-island.jp/kyoshitsu/
出演 : 南 瑠霞 ・ おやつ
構成 : 南 瑠霞
編集 : 蓮子 都