手話通訳者と手話通訳士の違い
関東で、様々な手話サークルにお邪魔すると、
皆さん、表現技術や単語ばかりでなく、
いろんな手話情報を勉強しておられるのですが、
意外に多いのが、
「手話通訳者と手話通訳士って、どう違うの?」
という質問です。
平成元年から始まった手話通訳士資格試験も、
今年で30年となり、
毎年受験する方も、全国におられるので、
そういった方々を、
応援するためにも、この違い、知っておくといいかもしれません。
また、私は、
「手話通訳士になりたいので、方法を教えてください。」
と、よく相談をいただくこともあります。
その時も、
「ええと・・・・
あなたがなりたいのは、手話通訳者ですか?
手話通訳士ですか?
どういった意味で、手話通訳士と言っていますか?」
とお聞きすると、
ほとんどの方が、
「え・・・その二つは、違うんですか?
どっちと言われても・・・わかりません・・・・」
と、おっしゃいます。
最近、なんとなく聞くことが多くなった
「手話通訳士」という言葉ですが、
これ、「手話通訳者」と言う場合とは、
ちょっと意味が違います。
手話通訳者とは、手話通訳をする人のことをさし、
手話通訳士とは、厚生労働大臣公認の資格
(または資格の持ち主)のことをさしているのです。
ですから、手話通訳者 と言えば、
手話通訳者として活動をしている人全般のこと。
手話通訳士 と言った場合は、
手話通訳士の資格を持っている人。と言う意味になります。
多くの場合、地域の登録通訳者は、
必ずしも、手話通訳士の資格を持っておらず、
それでも、きちんと勉強をすれば、
地元で、たくさんの手話通訳活動ができます。
手話通訳士とは、その中でも、
厚生労働大臣公認の資格を持った人のことを言うことになりますので、
手話通訳者と手話通訳士は、
イコールで結ぶことはできません。
また、地域の登録通訳者の方にも、
初心者で、これからたくさんの勉強が必要な方もおられますし、
手話通訳士の資格を持っていなくても、
それ以上の素晴らしい能力を持っておられる方も、
たくさんいらっしゃいます。
一方、私のように、手話通訳士であっても、
主な仕事が手話通訳でなく、
手話パフォーマンス、手話コーディネート、
手話指導などの仕事をしている場合は、
手話通訳者とは言いません。
ですから、私は、手話通訳士であっても、
主な仕事は、手話通訳者ではありません。
ちょっと区別が、難しいですが、
なんとなく、内容はわかっていただけましたか?
また、これは、あくまで 私の印象ですが、
多くの方が手話通訳の勉強をするときは、
最初に、地元の登録「手話通訳者」になることを目指し、
そのうえで、もっとさらに活動の幅を広げたい、深めたいと思う方が、
「手話通訳士」を目指すということが多いように思います。
私は、手話の勉強をする人が、
必ずしも手話通訳者や手話通訳士を目指す必要はないと思いますし、
多くの方には、難しいことを考えるより、
もっともっと、聞こえない方とたくさんのふれあいを、
していただきたいと願っています。
ただ、せっかく手話と出会ったのであれば、
聞こえない人を取り巻く環境なども、ともに学んべば、
言葉への理解もさらに深まるかもしれないとも思います。
全国には今、「手話言語条例」も広がっています。
2013年、鳥取県で、制定されたのを皮切りに、
今年、2018年5月現在、179の自治体が、「手話言語条例」を施行しています。
今、手話の世界は、大きな変化を遂げている時期でもあるように思います。
手話通訳やいろんな制度のことも、みんなで学びあいたいですね。
季節は進み、東京の街角には、
青くて若い柿やみかんの実も!!
間もなく夏がやってきます。