佳子さまの手話
10月7日(日)
鳥取県で開催された 手話パフォーマンス甲子園に行ってきました。
私たち手話パフォーマンスきいろぐみは、
当日のゲストステージ出演のために伺いました。
心配された台風も逸れ、
東京や神奈川、熊本や沖縄からなど、
全国から20の高校の生徒の皆さんも、無事、現地に到着。
前日からの交流パーティー、
そして、本選スケジュールが滞りなく進行しました!!
素晴らしい内容でした。
その、激戦の様子は、
手話パフォーマンス甲子園のサイトで、
間も無く公開されると思いますので、
ぜひ、チェックして見てくださいね。
https://www.pref.tottori.lg.jp/koushien/
(2018手話パフォーマンス甲子園プログラムから。
出場20チームの皆さんのプロフィールです。)
今日は、この手話パフォーマンス甲子園会場で、
コメントをされた 佳子内親王の手話について、お話ししましょう。
佳子さまの数分間に渡る、音声と手話によるお話は、
2年前、私が、
第3回手話パフォーマンス甲子園で、審査員を承ったときにも、
拝見しました。
しかし、今回の佳子内親王は、明らかに違っていた!!
と、実感しました。
それは、もちろん、いい方向に!!です。
私は、とても嬉しく、その手話に感動したのです。
音声の発声と同時に、手話の単語をつけて話す手話表現は、
音声対応手話と言われ、
いわゆる ろう者のネイティブな日本手話とは、
文法や、表現ルールも違います。
でも、音声をつけて、口型で“てにをは”なども、
きちんと表現すれば、
聞こえる人にもろうの人にも、同時に通じる、
とても良い手話になります。
今回の、佳子さまは、この音声対応手話で、
全ての言葉を、最初から最後まで表現されました。
2年前の佳子さまの手話は、良い表現でしたが、
初々しさの残る、一生懸命なものであったと感じました。
もちろんそれは、素晴らしいもので、
生き生きとした表情と、美しい手の動きは、
誰の目にも、まっすぐに届いたと思います。
しかし、今回の佳子さまのお話は、
手話の素晴らしさに加え、
会場全体にメッセージを伝えようという
若々しい明るいエネルギーが、あふれていたように思うのです。
これは、佳子さまの、手の形が綺麗で、
音声で言うところの 滑舌にあたる、
手の切り返しがとてもよかったこともあります。
また、音声対応手話で難しいのは、音声と手話のタイミング。
人によっては、音声の口が先走ってしまい、
手話が後にこぼれたりして、
せっかくの声付きの手話が、ごちゃごちゃになってしまう場合もあります。
ところが、佳子さまの手話は、まさに、音声と手話がぴたりと一致。
これは、どう言う意味かと言うと、
つまり、音声と手話が、確信を持って、
心と一致して 話されていたと言うことに他なりません。
また、日本語と同時に手話単語を並べる、
音声対応手話と言えども、
表現においては、ものの位置関係や、手を動かす方向なども、
重要になります。
そこもまた、迷うことなく、ていねいに、表現されていたのが、
一目でわかりました。
微妙に、専門的な言い方をしてしまいましたが(笑)、
つまり、佳子さまの手話は、
とてもきれいで、心からまっすぐ届くもので、
これは、ご本人が、意思を持って、ここにきて、
この話をしよう!と言う思いがなければできない、
しっかりとした内容と表現だ!と、
私には感じられたのです。
「手話パフォーマンス甲子園のこの会場に、
私が決めて、私が訪問し、皆さんに会いにきました!!」と言うことが、
コメント中に含まれていなくても、
その笑顔と手話から、いっぱい伝わったお話でした。
佳子さまの手話は、
もし、私が、高校生や大学生で、こんな先輩がいたら、
とても憧れて、
「わあ、私もあんな風に手話で話したい」
と感じたに違いない!魅力あふれるものだったのです。
そう言う面でも、
10年20年後の未来を支えてくれるであろう、
若者たちの祭典、手話パフォーマンス甲子園の会場に、
皇室から若い佳子さまが来られたことは、
意義深く、人々の心に残るものになったと思います。
手話パフォーマンス甲子園の 佳子さまの映像は、
全国のテレビでも、報道され、
多くの方が、きれいな手話だなとか、
キラキラしているな〜!と感じられたことと思いますが、
手話の傍らを歩き続けている私の目にも、
間違いなく、佳子さまの手話は、素敵でした。
(写真は10月7日のTBSニュース画像です)
手話パフォーマンス甲子園が、
多くの人の手によって、暖かく心を集め、
みんなの手で、生き生きと守り育てて行くのだという決意が、
佳子さまの手話からも、
あふれるように伝わってきて、
心洗われる思いで、帰路につきました。
いま、手話の現場に立つ、私たちは、
ろう者の大学や社会進出とともに出会った、
ろう者のエネルギーをあふれるように受けて育った世代です。
高校生たちの頑張りは、必ず、未来につながります。
手話パフォーマンス甲子園と、高校生たちの成長が、
「手話は言語」だとさらに、
多くの人にその輪を広げていけるものになってきたのだなと、
実感した、鳥取行きでした。
感謝。