手話通訳者のみんなが悩んでいること


「ろう者の手話が読み取れない」
「どうすれば映像的手話表現ができるようになるのか??」
「そもそも、自分の日本語があやうい気がする」

先日、手話通訳士仲間と話していて、
みんなの悩みを聞く機会がありました。
上記の3つが、現場での、通訳者としての大きな悩みなのだそうです。

みんなが圧倒的につまづいているのは、
「ろう者の手話が読み取れない」ということ。
ろう者の手話は、講習会などで習った通りに話してくれないし、
いろんな言い回しもあり、
経験が少なければ、知らない語彙もある。
読み取りながら、え〜となんだっけ・・などと考えているうちに、
話がどんどん進んでしまい、あっという間に見逃して、
結果、何を言っているのか細かいことが追えなくなり、
どう通訳していいかわからなくなる・・・大汗

また、次にどう勉強したらいいのかもわからなくて困っているのが、
手話の映像的表現や、手話の位置関係。
聞き取り通訳の時に、相当苦戦するとみんなが口を揃えて言います。
ろう者なら、目の前に風景が浮かび上がるように表現できる話が、
なんだか、音声対応的な表現になってしまい、
結果、全然いい手話にならず、
文字面だけはなんとか伝えられても、
本来の内容が意図した通りきちんと伝えられたのかどうか
不安になる。汗汗

そして、3つ目が、「自分の持つ日本語の限界」。
もともと、自分の日本語が乏しいので、
なんとも巧みなろう者の手話が、
適切な日本語でテンポよく話せないし、
ろう者の話を、周りの人に良きニュアンスごと伝えられたか、
自身が持てない。
これは、主に、読み取り通訳のことですが、
実は、聞き取り通訳も、例えば、それを日本語であっても、
わかりやすく言い換えたりすることが苦手だと、
当然、手話への変換も組み立てづらいという壁にぶち当たる・・・泣

現在、多くの手話通訳者が、
地域登録や、国の手話通訳士の資格に合格してなお、
難しいな〜と、感じながら、様々な現場に立っているというわけです。

地元で登録手話通訳になったり、
厚生労働大臣公認 手話通訳士になるには、
早い人で2〜3年。
平均的には、5〜6年。
この間、日本語を改めて学ぶチャンスも少ないし、
手話の勉強が盛りだくさんで、それどころでもないし、
合格した後も、
みんな、もっともっと勉強したいのだと、
いろんな気持ちを教えてくれました。

1人の通訳士は、
「そうなんだよね・・・・なんかね、、、
日本語ってさ、みーんな日本人ならたくさん話しているし、
手話通訳になりたいって時に、
まさか、日本語が問題になるなんて、思わないよね。
手話通訳者になりたいんだから、手話ばっかり勉強するじゃない。
でもさ、生まれたときから日本語を話してるからって、
誰でもみんな、日本語が豊かだとは限らないよね。
敬語とかも、やっぱりどう使ったらいいかとか迷うわけだし。
日本語は、落とし穴よ。あはは・・・・」
と、自虐的に笑っておりました。汗&笑

というわけで、
手話通訳を目指すみなさん、
通訳者の悩みの中でも、
日本語は、とても重要です。

まず、同じ日本語でも、
同じ意味のことを、別の表現でいくつか言い回しを変えられるかどうか、
また、人前で、きちんとまとまった話ができるかどうか?
これは以外に重要ポイントですので、
振り返っておきましょう。汗汗

さて、いつもながら、
こういう話をすると、
手話を学んだら、通訳者にならなきゃいけないの?
と思う人がいるので一言!!
その質問への答えは、NOだと、私は常々思っています。笑笑

手話を学ぶとは、
聞こえる人と聞こえない人の、出会いと友情を紡ぐことであり、
知り合うこと、通じ合うことへの喜びを体験することは、
何より人を豊かにします。
そして、手話を言語だと知れば、
逆に、日本語についてもたくさんの学びを得るかも知れません。
ろうの人の歴史を知れば、人の生き方も学ぶこともあります。
飲み友達で、ワイワイ出かけて、
酒の席で、通じなければ身振りでも筆談でもして、
めっちゃ楽しくて、
一つ単語を知れば、それが喜びになり、
二つ単語を知れば、それを使いたくなり、
互いの心が、ワクワクすること。
それが、手話を学ぶ一番の魅力だと思うし、
ずっとずっと、それを続けて、ろうの人と友達でいることは、
何より、溢れるほどに素敵なことだと思います。
ろうの人たちもまた、それを、とても楽しみにしているのを、
私は、よく知っています。

また、ろうの人と友達になれなくても、
手話があると知るだけでも、
自分の知らなかったことを学ぶ意義は大きいと思います。

だから、手話を学ぶなら、通訳にならなくっちゃなんて、
思う必要はないし、
まずは楽しく話すことが、大切なのではないでしょうか?

それからそれから、実は、通訳を目指す人だって、
その出会いと友情を忘れて技術だけを追い求めても、
良き手話通訳者になれるとは言えません。
そこを大事にしながら、
みんなで学び会えれば素敵だなーと思っています。

さてさて、そんなわけで、今日も、長くなりました。
思うことをつらつらと書き、まとまりがありませんが、
みんなで勉強するって楽しいなーと思いながら、過ごしている、
今日この頃です。
本当に、いつもありがとうございます。

南 瑠霞


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私は、魚が好きです!!