全国でただ一つ!!「手話のヒーローショーをするパフォーマンス集団!!きいろぐみ!!」


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8月24日の手話ミュージカル、皆さんに応援いただき、本当にありがとうございました!!
皆さんのおかげで、無事、本番が終了しました。
当日公開させていただいたパンフレットのメッセージを、ブログでも、お伝えします。感謝。


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(パンフレット掲載文)

今年も夏がやってきて、そしていつものように手話ミュージカルの幕が開く。
手話言語条例は、2019年8月現在 280の自治体を超え、この30年で手話の世界には、うれしいこともいろいろあった。
 
1989年、平成のスタートとともに、たまたま立ち上がったきいろぐみは、ろう者1人、聴者2人。都内の小さなライブハウスで、ろう者が照明をつとめ、聴者2人が舞台に立って歌って踊った。今では考えられないような小さなステージで、私たちの舞台活動は始まった。
 
それより前、私たちが路上でチラシやパンフを配りながら、全国に訴えた手話通訳士の資格試験も、この年にスタート。初めて、厚生労働大臣公認資格である手話通訳士が誕生した。
平成の間にも、ろうの方々、手話通訳者の方々が様々な力を注ぎ、いくつかの法律も変わった。補聴器の条件付きだった聞こえない人の車の普通免許も、ワイドミラーなどの使用に変えられることとなり、街で時々見かけるちょうちょのマーク(聴覚障害者マーク)が誕生した。
聞こえないことにより、就くことのできなかった仕事も、少しずつではあるが解消され、
2000年を過ぎたころ、全国に欠格条項撤廃運動が広がった。220万人以上の署名を集めて
法律が改正、ろう者として日本初の薬剤師さんが誕生したことも話題になった。
2017年、全国で初めてろう者のバスの運転士さんも生まれ、注目を集めた。
 
手話とろう者を取り巻く環境が、大きく変わった平成の時代の中で、きいろぐみもその活動の輪を広げさせてもらった。毎回毎回、多くの方が劇場に足を運び、あきずこりず付き合い続けてくださっての30年だ。
 
その間に私たちは、テレビや映画などにも出演するようになり、東京ディズニーリゾートの舞台にも立ち、こんな大きなひまわりの郷という場所で、劇場公演までさせていただける機会をもらった。
これは、世の中の「手話パフォーマンス」「手話エンターテイメント」への、見方や思いの変化。
また、ともに楽しみたいと願い続けて下さった多くの皆さんの温かい心あってのことだ。
 
はじめは手話関係者や、聞こえない人たちが多かった客席に、そのまた友達や家族が来てくれるようになり、そしてまた次のその人の恋人や友達が来てくれるようになり、毎回舞台から見るお客さんたちの顔ぶれも変わっていった。みんながつながって次々に、新しいお客さんを連れてきてくれた驚きと感動は、今日のこの日までつながっている。
 
そこにはまた、きいろぐみの試みに心を寄せ、信じてくれたからこそ場所を提供してくれた、様々なライブハウスや劇場などの支えもあった。
 
そんな中で、きいろぐみは、人に譲れないことがある。
 
第一に、「豊かな手話を持つ聞こえない人と、手話を懸命に学ぶ私たちこそが、多くの人に、夢を配る」という活動の大前提だ。これはつまり、ざっくりいうと、「聞こえない人が、自分たちの持つ魅力あふれる言葉『手話』で、多くの聞こえる人たちを励まし、勇気づけ、夢を提供する」という立場になりたい!!と考えているということ。
当然のことだけれど、聞こえない人も、多くの人の役に立ち、同じように泣き笑い、恋もし、ある時は、聞こえる私たちを大いに励まし勇気づけ、力になってくれる。何より手話は、聞こえる私たちにとっても、パワーあふれる「見せる(魅せる)表現手段」だ。私たちは、それを証明したくて、活動に取り組んでいる。きいろぐみにいる手話を学ぶ聴者は、聞こえない友人たちの力を信じる証人でもあると私は思う。
 
第二に、「くだらないことを いっぱいやりたい」ということ。手話といえば、福祉やボランティア、教育という方向に目が向きがちな世の中で、それじゃ、手話でのお笑いやジョークはどうなっているのかというと、まだまだ目を向けている人は少ない。だけど実は、聞こえる私たちをかえりみても、休日や深夜のテレビのお笑い番組は人気だし、若者たちなら、ニュースもいいけどやっぱりドラマやエンタメが、わくわくするよね。なんて思っている人も多い。
だから!手話でも、そこが広がっていかないと、実はバリアフリーじゃない!!
 
そんなこんなで、きいろぐみ30年の後半、私たちは、そこに頑張って挑戦している。聞こえないメンバーが力を注ぐデフジョークを、聞こえる人に見てもらって喜んでもらえるにはどうしたらいいか?とか、手話で今までにないヒーローショーを繰り広げたら、どんな人が見てくれるだろう?などなど、思い描くことはいっぱいあった。
 
きいろぐみは現在、手話でヒーローショーを行う全国で唯一の劇団だ。劇場には、いつも
ヒーローがやってきて、会場の皆さんと一緒に手話の呪文を唱えて、悪を倒す!!笑
 
初めのころ馬鹿にされたこの演出も、時を経て、「楽しい」という声がたくさん届くようになった。「うちの子が、手話ミュージカルを見て帰ってきたら、夜に寝言で呪文を唱えていた。たぶん、楽しかったのでしょう。笑」「うちは子供が聞こえて、親の私たちが聞こえません。普通の子供ショーに行っても、私たちはセリフも聞こえず意味が分からず、楽しそうな子供を見ているだけ。ヒーローショーがこんなに楽しいなんて、親として知りませんでした。手話も声もあって、私たちは初めて、親子で同じものを見て感動しました。」「うちは、子供が聞こえず、親が聞こえます。映画などに字幕がついても、小さい子供では、それを見るのが難しい場合もあります。聞こえない子の親として、こうした舞台に親子で来られることはうれしいです。一緒に来てよかった。」「手話はわからないけど、いっぱい泣いて笑った。(聞こえる方)」「聞こえない人が見て楽しめるお笑いは少ないから、もっともっと頑張って!(聞こえない方)」
 
聞こえる子供たちが、テーマパークなどでごく普通に楽しんでいる様々なショーを、手話の世界にも!!これは、私南の決意でもある。
手話といえば、くだらないことはしてはいけないなどと思うその心、実はやや偏見なんじゃないか!?できればその壁も越えて、手話でばかばかしいことをするきいろぐみは、維持したいと願っている。笑
 
30年の時は、そんな私の考えとは別に、新たな感動をもたらしてくれてもいる。かつて、きいろぐみの舞台を楽しかったと感じた子供たちが大きくなり、今、その何人かが、この舞台に立ってくれていることだ。夢をもらう立場を体験した子供たちが、今度は配る側に立ってみようと思ってくれたことには、心から感謝している。
ここまで、この夢を、ともに実現しようと歩いてきた、多くのスタッフ・キャストたちもまた、舞台づくりにあふれるほどの思いを注いでいる。この活動を信じていなければできないことだ。
 
今年になり、多くの方に、きいろぐみ30年、おめでとう。すごいね!!と 声をかけていただいているが、それは全く逆で、手話を大事に育てたい、みんなで心の輪を広げたいと願った、多くの関係者、お客さんや応援してくれる人、そしていつしかその垣根を越えて、こちら側で共に夢を紡ごうと、情熱を持って関わってくれているメンバー。そのすべての人が思いをつなぎ続けてこそ、きいろぐみはここにあると、この夏、改めて肌で感じている。
 
全ての出会いに感謝。
そして、きいろぐみは今年もヒーローショーを演じます。感動作や問題作も、頑張って取り組みますが、ヒーローショーは私たちにとって、宝物のひとつです。今日のステージの結末をお楽しみに。
1年365日の中のこの日、横浜のこの劇場に 選んでやって来て下さったあなたの心に、
厚くお礼を申し上げます。                      


2019.08.24(土)
手話パフォーマンスきいろぐみ代表 ・ 手話通訳士 南 瑠霞