手話あいらんどTVクロスカルチャー「手話には複数形・単数形がある!!」
今回のクロスカルチャーは、ちょっと科学のお話。ぜひ、楽しく見てみてください。
(簡単な内容)
手話あいらんどTVクロスカルチャー!!
塚越です。ろう者です。
南 瑠霞です。聞こえます。
知り合いが手話を一生懸命勉強しています。科学の研究者です。
あるときろうの人に手話表現をたずねたら、互いにうまく通じず、困ったそうです。
「宇宙でガスが集まり、星ができます。」
この日本文を、教えてほしいと、ろうの人に聞いたら、「この日本文だけ見ても、すぐ手話にはできない。」と言われてしまったのだそうです。
ろうの人が言っている意味が、わからないので、教えてほしい。と、南のところに連絡をくれました。
実際、塚越しくんも、この日本文だけでは、状況がわからず、どう手話にすべきか、迷います。
一緒に解説していきましょう。
ポイント①
手話には、複数系と、単数系があります。
「星」という日本語を見ても、これが、本当は複数の星なのか、一つだけの星かわからない。
ここに、日本語の単語だけ見ていても、手話にしづらい理由があります。
「星がきれいだね」という時の星は、空の星全体をあらわしているので、複数系で表わすのが自然!
「わあ、星だ。(1番星)」は、一つの星。
同じ「子ども」という手話でも、それが「1人の子ども」か「数人の子ども」か「多勢の子ども」かによって、手話表現はどんどん変わっていきます。
ポイント②
手話の動詞は、物や状態で、表現が変化する。
「人が集まる」
「人が わらわらと集まる。」
「多勢の人があつまる。」
これも表現が変わってきます。
そして、今日の質問の文に出てくる「ガス」を例にとると、
「ガスが、一気に集まる。」
「ガスが大きなウズになって集まる。」
これも、表現が、状況によって、全くちがってきます。
(また、料理などで使うガスの炎も、もちろん表し方は、違います。)
手話表現をする際、一つの日本語を見ても、何通りもの意味があるので、それがわからなければ、すぐに手話は確定できない。ということになります。
そして、問題の文を表現してみましょう。
この日本語からは、次の二つの意味が考えられます。
「宇宙でガスが集まり、一つの星になる様子」
「宇宙でガスが集まり、幾つもの星が生まれる様子。」
ろう者のいう「日本語がわからない」という意味と、聴者が
“ろうの人は日本語が苦手かも。”と思っていることとも、ちょっと感覚がずれているかもしれません。
ろうの人が、「日本語がわからない」と言っている時は、「日本文を見た時、その意味合いや背景がわからない。」と、言っている場合もあり、それで、日本文からすぐに手話にできないということになるわけです。
ろうの人が「日本文がわからない」と言っている時は、『意味がいく通りにも取れて、本当に言いたいことが何なのかわからない。』と感じていることも多く、聞こえる人が単純に「ろうの人は日本語が苦手らしい。」と とらえてしまうのとは、また意味が違うといういことですね。
文化の違いが よくわかります。
どっちがいいか悪いかではなく、互いの違いがわかると、より仲良くなれるということだと思います。
あなたもぜひ、手話を楽しんで勉強してください。
またお会いしましょう。さようなら〜〜〜〜〜!!
提供:手話あいらんど手話教室
出演:南 瑠霞&塚越
構成:南 瑠霞
撮影&編集:青木孝二