手話あいらんどTV クロスカルチャー「ろう者が社会に出るとき」

2020.06.10(水)

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2020年4月頭に撮影したクロスカルチャーが、様々な遅れで今回配信になりました。
ろうの若者が、社会に出たら、どんな壁があるのかな?そして、時代はどんなふうに変化してきたのかな?
ろう者のことぷきが、手話通訳士南 瑠霞と一緒にお届けします。

今年は、学校も仕事も、この6月から仕切り直してスタートしたというあなたもいることと思います。ぜひ、一緒に見てください。



(簡単な内容)
手話あいらんどTVクロスカルチャー!!
ことぷきです。ろう者です。
南 瑠霞です。聞こえます。
よろしくお願いします。

春になり、暖かくなりました。
新社会人になった方もいると思います。
おめでとうございます。

この時期は、ことぷきも、かつて新入社員だった頃など、思い出しますか?

ことぷきは、聾学校を卒業しました。
日頃は、手話で話す生活で、音のない世界にずっといた。
社会に出たとき、今までとは違う、聞こえる人に囲まれて、自分1人がろう者という環境になりました。
手話も通じない。
たくさんの筆談を繰り広げますが、長い文では通じにくい面もあり、短く書き直して、互いにやり取りするなど、大変なことがたくさんありました。

朝のミーティングも、みんなのたくさんの会話をただみるばかり。聞こえないので、内容もわからずずっと待ち、10分くらい我慢し、最後にまとめたメモをもらうと、とても短い。あんなに話した内容は、これで本当に終わりなのかな?などと思ったり・・

通勤途中に、電車の事故の遅延などが出ると困りました。
今は、すぐにスマホのメールなどで連絡できますが、当時は、携帯もそこまで便利ではなく、メッセージもEメールで送ることになります。受け取る人は会社のパソコンを使っているので、朝、職場でパソコンを開けるまで、読んでくれなかったり、急用には間に合いません。
そんな時は、駅員さんに電話を頼みたいのですが、多くの人も事故で事情が分からず駅員さんを取り囲んでごった返しています。やっと目があって、メモを渡して電話をかけてもらったりしたことも。

事故のインフォメーションも、以前は、車内放送のみで、耳からしか聞けませんでした。聞こえない人は、何が起こったのかわかりませんでした。今は、電車の扉の上などに、文字のインフォメーションが出るようになりました。それで状況がわかるようになってきました。便利になりましたね。

会社に初めて入ったときには、歓迎会もありました。
みんなと一緒に飲み屋に行き、聞こえる人たちの輪の中で自分も席につきました。
盛り上がって、乾杯をした後、隣の人が、メモを渡してくれたので、その返事を一生懸命書いて返そうとしたら、もう、その人は、反対の人とお喋りに夢中で、筆談の続きができませんでした。がっかりした思い出があります。

みんなが音声で話していて、自分は分からないので、仕方なく、近くにある食べ物を、どんどん1人で食べてしまったり・・・

これから、みんなも社会に出て、いろんな出会いがあり、悩みも出てくると思います。周りの人たちとお互いに、理解し合って、助け合い、一つ一つの困りごとを、解決していければいいし、みんなで仲良くしていければいいなと思います。

時代も変わり、最近は、筆談をしなくても、聞こえる人は、スマホに声を吹き込めば、文字に変換されるようになりました。書くのが面倒な人も、文字で伝えることが簡単になってきました。
便利な時代へと変わってきましたね。

今は、手話言語条例も、全国に広がり、手話を学ぶ人も増えました。会社で手話を学ぶ人も増え、互いが理解し合い助け合える機会も増えてくると思います。

会議では、UDトークなど、会話を文字化するシステムも広がってきました。マイクで話すと、その声が、画面に文字になって出てきます。時々誤変換もありますが。笑 全体は掴めるようになってきました。

ことぷきは、以前と比べると、今は、生きてる!幸せだ!という実感もあります。時代は便利になり、いろんな不満や壁も、解決されてきたように思います。かつての苦しさを、時代が飛び越してくれたような思いです。

互いを理解し合いたい願う心が、技術の進歩を生んできたんですね。みんなでこれからも仲良くしたいですね。
新社会人の皆さんも、一緒にがんばりましょう。

また、お会いしましょう。
さようなら〜〜〜〜〜〜〜!!

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提供:手話あいらんど手話教室

出演:ことぷき&南 瑠霞
構成:南 瑠霞
撮影:青木孝二