大切なものは何か?学生たちから教えられる瞬間!!


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今年の短大のもみじは、向かって右半分から、赤くなってきています。来週あたり、完全に色を変えるかもしれません。

今週の短大では、驚くようなことがありました。

実は、今回一人、とても勉強の苦手な学生が、「うまくできるかわからないけど、ぜひ勉強してみたい」ということで、授業登録を行い、毎週クラスに出席してくれています。
しかし、授業もだんだん進む中、積み重ねがおぼつかなくなると、どんどん覚えていく学生と、前回までの内容がうまく吸収できずやや遅れ気味になってくる学生に、差が出てきてしまいます。

今週は、そんな授業をみんなでうまく理解しあうために、ある程度覚えた学生たちが、積極的に私の手話の読み取りをしてくれることになりました。
それで、授業は全体として、滞りなく、いろんな説明も通じ合い、進んだのですが、、、、

自分がついていけていないと感じた、勉強の苦手な学生が、グループディスカッションの時、席を離れて私のところに来ました。
話し合いは、学生たちに任せていたので、私も少し手が空いたタイミングです。
ふと見ると、学生は、手元のメモ帳に、やや長い文を書いています。筆談です。

見せてもらうと、
「私は、授業についていけず、皆さんに、迷惑をかけていると思うので、手話の授業は遠慮したほうがいいかもしれません。」
と書いてあります。
私は、そんなふうに思っていたのか!と驚き、
「授業は、みんなそれぞれのペースがあるから、少しくらい遅れても、みんなが迷惑だと思うことはない。」
「また、みんなが読み取りをしてくれているのは、確かに、わかりづらい人にとっては、助けになっていると思うが、実は、みんなも自分たちの読み取りの勉強になっているので、返って良いくらいだ。」
などと、私も筆談を返しました。
「そうですか。自分は、みんなに迷惑だとばかり思っていました。」
「そんなことはない。こうやって助け合っていること自体、案外、みんなの勉強も深まっている。あなたのわからない!という意思表示は、みんなのためにも意味がある。。。。。」
・・・以下、筆談は、紙の裏まで続き・・・

最後に、本人は、「よく、わかりました。ちゃんと基本からやって、自分の名前や住所など、表現できるよう頑張ります。」
と書き終えて、自分のグループディスカッションに戻っていきました。

私も、本人が、改めて落ち着いてやってみようと思ってくれて良かったなと思いつつ、その時になって、はっ!と、あることに気づきました。
目の前に残された、互いの字が交互に並ぶ長い筆談メモを見ながら!!

この学生は、手話が苦手だと訴えながらも、私たちの授業の約束のルールを最初から最後まで守って、私に話しかけていたのです!!!!!
私の授業は、声なしです。
みんなにも、質問や意見は、指文字で頑張ってもらったり、紙やホワイトボードに書いてもらったりしながら、コミュニケーションをとり、こちらの回答も全て、手話や筆談で行っています。
もちろん、中には、つい忘れて声で話してしまう人もいますが。笑

その中で、その学生は、長い悩みごとを全て文にし、私と最後まで、筆談でやりとりして、問題を解決しようとしたのです。
それに気づいた私は、とても驚き、とても嬉しく、とても感激し、みんなのグループディスカッションを、途中であったにもかかわらず、一旦止めてもらいました。

「ねえねえ、みんな、私の手話を、声にして、わからない人に教えてあげてね。」
「うんうん。」
「今、すごく嬉しいことがありました。〇〇さんが、授業についていけないから、みんなに迷惑をかけていると悩んでいるけど、読み取りをしているみんなも、すごく勉強になっているよね。」
「うんうん」
「だから、みんな、そんなに迷惑なわけじゃないよね。」
「うんうん。そう。読み取るのは楽しい」
「うん。そしてね。今ね。〇〇さんは、この悩み事を、全て紙に書いて教えてくれたの。この授業の約束、みんな覚えてる?【声を使わずコミュニケーションをとる】って、こと。これをね、〇〇さんは、手話が苦手だと言っているけど、一生懸命文にして、伝えてくれた。〇〇さんは、この授業の大事な約束を守ってくれている。私はこれが嬉しい。本当に嬉しい。ありがとう!!」
そう言いながら、私は、みんなの前で泣いてしまったのです。

これ、もちろん、みんなが通訳して声にして読み取って、本人に伝えてくれた会話です。
7回目の授業で、この内容を、ちゃんと読み取って伝え切ってくれた学生たちの、本気の読み取り、どうよ。すごいじゃないか!!
確かに少し遅かったけど、それでも、全然間違っちゃいなかった。
私と一緒に泣いてくれた、学生もいた。

みんなが、互いに理解し、伝え合おうとした姿勢。
それは、今まで結構バラバラな感じだった雰囲気を、一つにもしてくれました。
それを境いに、他の学生も、口で簡単に伝えようとせず、筆談でいろんな連絡をしてくれるようになりました。笑
手話が分からず悩んだ学生も、みんなの学習を支えた形になったのです。

こんな授業ってあるだろうか?
一番手話が苦手だった学生は、一番「手話の授業の心」を理解し、実践しようとした一人だった。
そして、みんなも、そう感じ。力を合わせた。
こんな嬉しい授業!!
今週、私は、こんな素敵な学生たちの気持ちを知ることができました。

このことは、学校にもまだ報告していないけれど、必ず教務の方に、丁寧に伝えたいと思います。
きっと、とても喜んでくださると思います。

手話が下手だって、想いは通じる。・・よく聞く言葉ではあるけど、でも本当にそうなんだって、学生たちの姿を見ながら、改めて教えられました。大切なものは何か?それは、私たちの心がちゃんと知っていて、みんなが、そこを手放さないために、それぞれ頑張っているのだと思えました。
これが「勉強」というものなんだなあ!!

本当に、出逢いに感謝します。
ありがとう。

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学内に咲く冬の花。

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学生たちの心のような、清々しい青い空と紅葉。