耳栓をして街を歩く


耳栓をしても、私たちの耳は、聞こえなくなる訳ではありません。人によっては、なんだ!ほぼ全部、音が聞こえるじゃん。と感じる人もいます。私たちが、耳が聞こえない状態を体験するのは、なかなか難しい。

でも、その耳栓をしてほんの少し聞こえなくなること、そして、みんなが約束して音声会話を禁止し、声と耳を使わないでコミュニケーションしてみることを体験すると、学生たちには、たくさんの気づきが生まれます。

今年も、もう冬の始まった1日、短大の学生たちには、この耳栓体験をしてもらいました。

学校周辺に、7つのポイントを設け、オリエンテーリングのようにして、グループで回って来てもらいます。
「消防署前のマンホールのフタの色を確認する」「かわいい銅像が履いている靴は何?」「自販機で、みんなが一番好きな飲み物を一つ決める」「門の横の植物の名前は何?」などなのですが、中には、すぐにパッと見ればわかる問題もあれば、わざと植物が複数本あって、どれのことかわからなかくなっていたり、声なしで多数決を取らなければならず、みんなでなんらかの工夫をしなければ答えがまとめられないものもあり、それぞれが協力しあってコミュニケーションを取らなければゴールに到達できない。という、ミッションクリア型のアトラクションです。

これを、耳と音声を使わずに楽しんで回って来てもらうという、授業内体験。
今年は、天気も良く、みんな、元気に学校周辺を回ってきてくれました。

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いったん7つのポイントの回答を、得てきた学生たちは、耳栓を取って、周りの音を聞いてみます。
すると、今まで耳栓をしたって結構聞こえたいる!と思っていた学生たちも、はっとした顔になります。
耳栓を外した途端、空調の音や、周りの人がペンを走らせる音、廊下を歩く人の足音、話し声、外の公園の子供達の声などが、一気に耳になだれ込みます。

どうだった?と聞けば、学生たちから自然に!!
「私たちの耳って、見えてないのに、道路を通る車が、大きいか小さいか、バイクかとかわかる!進む方向もわかる!!」
「見てもいないのに、声で子供達がたくさんいる!とわかる」
「カキーン!という音がしたから、多分、公園で野球をしている!」
など、さまざまなことを、教えてくれます。

また、15分か20分歩いてきただけで、
「前を行く人を呼び止めるのが大変。走って呼びに行った。」
「なんでもないことは、伝えるのが大変だし、重要じゃないから、だんだん話さなくなった。」
と、たくさんの気づきも、出てきます。

私の方からも、筆談や手話で、
「そう。私たち日本人だって、外国に行って、言葉が通じにくければ、重要でなければないほど、それを伝えようという気持ちがなくなってしまうよね。でも、本当は私達、『くだらないこと』を話す時が、一番楽しいのにね。」などと、話しかけると、学生たちも、うんうん!と、うなづいて、聞いてくれます。

授業自体も、ホワイトボードにいっぱいみんなで書き込みながら、筆談と身振りで話し合い、そして、外を歩いて気づいたことも、どんどん飛び出し。
体験は、私達講師から理論で、話して説明するより、ずっと豊かに、学生たちに学びをもたらしてくれます。

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今週の手話の授業は、私の仕事の都合でずらしてもらったので、2度ありました。
ほんの2〜3日前まで、かなり茂っていた、中庭の大もみじの葉がほとんど落ちて、芝生の上の赤い葉もきれいに掃除され、あっという間に、窓の外が、冬の景色に変わっていました。
さあ、風邪を引かずに、ここからも、元気に頑張ろう!!

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