「反対」「反旗をひるがえす」


「しずかちゃんとパパ」第1話放送終了後、何人かの方から、質問をいただきました。その中でも多かったのは、しずかちゃんのパパ純介が、集会所で発言した手話「反対」。


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この手話なに?

こんな手話習ってない。

これで「反対」という意味?

という声を多くいただきました。


一般に、「反対」の手話は、手話講座では多くの人が、手の甲を両方からつけ合わせる表現を習います。両者の意見が背中合わせで相反しているという意味合いの手話です。


【反対】

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(C)手話あいらんど


ところが、純介の手話は、この「反対」ではありませんでした。

ドラマ中、純介は、手のひらをひっくり返すことで、街の開発計画に「反対」と、表現していたのです。


手話には、いろんな表現手段、年代、男女などにより差があります。ネイティブのろう者の日本手話のほか、音声に手話をつけて話す日本語対応手話もあります。

この中で、純介が話しているのは、60〜70代以上の聾者男性が主に使う、伝統的な手話がベースとなっています。(純介の手話翻訳は、日本聾者劇団代表:江副悟史さんが主に担当しています。)


手のひらを上に上げて、くるっと反転させることで「反対」。

これが、ドラマ中の純介の表現。

私は、この手話翻訳を見た時、すぐにこの絵を思い浮かべました。


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女神とされる女性が、自由のために戦い、旗をひるがえしている絵画です。


手を上げてくるっとひっくり返す純介の手話は、この旗そのもの。

手話が「反旗をひるがえす」と表現していたのです。

賛成の場合そのまま手を上に上げますが、その手が裏返る。だから「反対」。

「私は、反対だ!」と、思いを放った瞬間でした。


これに似た表現では、

私たちがよく習う、「でも」。前の文と、続く文の意味が反対になるという意味で、同じように、手をひっくり返します。

「でも」「しかし」「だが」「ところが」などの意味で、使われることの多い手話です。


【でも】

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また、額の前で手のひらを返せば、「考えを変える」「手のひらを返したように態度を変える」「コロッと意見を変える」といった意味の手話になります。


【考えを変える】【気が変わる】

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こうした一連の表現を、手をひっくり返すと「意味が反転」すると、覚えておけば、いろんな場面で使える、豊かな手話の語彙の一つなのかもしれません。


手話翻訳の現場に立ち会いながら、様々な表現に触れ、感動をもらいながら、ドラマに立ち合わせてもらっています。


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NHKBS「しずかちゃんとパパ」

■手話翻訳指導

江副 悟史


はせ 亜美


■手話指導

三浦 寿


■手話コーディネーター

南 瑠霞


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