チョ〜 あったりめー!!
「しずかちゃんとパパ」
耳の聞こえない父と、たくさんの経験や思いを経ていつしか独り立ちしていく耳の聞こえる娘の姿を描いています。
今まで比較的、娘・息子の立場で人生いろんなことを考えてきた私ですが、今回は親の姿や頑張りが心にきます。見送る親には、子供の齢の年数だけ添い続けた数々のドラマがあり、それは宝物なのだとわかります。
このドラマは、ろう者のパパと、CODAの娘の、さまざまな手話会話も見どころの一つです。
今までのドラマでは、聞こえない人を囲む聴こえる人がテーマであることも多く、ろうの役の手話も、聞こえる人の文化に近い方法で訳されてきた傾向があります。
一般に、ネイティブの人も、周りが手話を勉強中の聴者ばかりであれば、聴こえる人にわかりやすい手話を選んで話してくれます。でなければテンポも何も違ってしまい、互いの楽しい会話の腰が折れてしまうからです。大汗笑(つまり、聞こえない人も、わたしたちに合わせながら、手話で話してくれているのですね。)
手話を学ぶ私たちも、聞こえない人と通じている!と思い込んでいたのに、いざ自分以外のネイティブ同士が話を始めると早いという以外に、あまり見たことのない表現も飛び出して、何が何だか分からず、ついていけなくなった・・という経験をされた方は多いかと思います。もちろん、私もその一人です。汗笑
今回、ドラマの中に出てくるのは、60代のろう者の父純介と、その友人などにも囲まれて過ごしたであろうCODA(聞こえない親を持つ、聞こえる子供)の静。コーダの中にも、いろんな人がいて、あまり手話を使わない人も、家族だけで通じ合う日常のサインを使っている人もいますが、今回の静は、父と同じように「ろう者の手話」を使う役柄です。
そんな中、この二人の手話は、本物のろう者である江副くんと、CODAのはせちゃんが、翻訳・指導してくれています。ドラマのセリフを、「ナチュラルな手話で、そして、このユーモラスなシーンを生かすには、どう表現すればいいのか?」そこに思いを注いで、1話ずつ翻訳が進められました。
だから、今回のドラマは、「ネイティブ同士が話す語彙」そして「テンポが良く、楽しく、手話講座などではあまり見かけない手話」が、いろいろ盛り込まれています。楽しいですね。
その中で私が、おっもしろっ!と思ったのは、「チョー、あったりめ〜」です。あ、でも、このチョーあったりめ〜という日本語も、私がそう当てているので、この日本語で何かを調べても、出てくるわけではありませんのでご注意ください。笑
さて、この手話、第4話で、圭一とパパのお弁当を作っている静が、パパに見つかりそうになり、パパが「美味しそう」と言ったのに答えた時の手話です。音声では「うまいよ〜!」と言っていますが、静ちゃんが表している手話は一般の「うまい」にあたる手話ではなく。「チョ〜 あったりめー!」です。
じゃ、これ何なんだ!?って話ですが、これは、「普通」「当たり前」という手話の、強調系として使われるもののようで、通常講座などで習う「親指を人差し指を使う手の形」を強調して、「親指のほか、残りの4指全部を使った」表現です。
「普通」「一般」「平等」「平均」(C)手話あいらんど
「当たり前」(C)手話あいらんど
「普通」「一般」「平等」「平均」「押し並べて」「当たり前」「ありきたり」などなど、この手話には、いろんな日本語が当てはめられます。文脈の流れで、場合により1回で表現したり、2回くらい表現したりします。
これの、すっごいヤツ!が、「チョ〜 あったりめー」。日本語に直訳すると、「当たり前じゃん」「言うまでもないわ」「当然すぎる」などの意味合いになるものと思います。
そう思って、この手話をみれば、「(お弁当が)うまいよ〜」と言うセリフにも、「あったりまえじゃん」と言う意味合いが含まれていることが見えてくるように思います。
圭一の弁当を隠したい静ですので、パパの目を「うまい」の方に引き付けておきたくて、この手話を選んだのかもしれません。笑
こう考えると、手話は、表に書かれている音声のセリフの裏に、どんな心情が流れているかによっても、変わってくるものだと言えるかもしれません。
こちらは、第7話、リビングでのパパと静の食事シーン。こちらも、圭一の話を聞きたくないパパと、話したい静。笑
以前パパが言った言葉を思い出して話す中、静がそれを「覚えてるよ!」と音声にします。その時の手話が「チョー 丸々完璧に あったりめ〜!」
チョ〜あったりめー!の最初に、「完全」「完璧」を意味するかのような、手のひらで上から大きく丸を描く表現も加えられ、さらに強調された表現になっています。
セリフは「覚えているのは、めっちゃ完璧に当然だよ!!」と言ったような意味合いになるのかもしれません。
ここも、もちろんやや父をほめすぎなのは、静の心情によるもの。パパを持ち上げときたいし、パンの中の柔らかい部分は、圭一のサンドイッチになっちゃってるし、話がそっちに向いて欲しくない静は、手話の選択もあやまりません。笑
ネイティブの自然さとユーモアあふれる手話が、溢れているのも、このドラマの魅力の一つだと感じます。
耳の聞こえない父と、たくさんの経験や思いを経ていつしか独り立ちしていく耳の聞こえる娘の姿を描いています。
今まで比較的、娘・息子の立場で人生いろんなことを考えてきた私ですが、今回は親の姿や頑張りが心にきます。見送る親には、子供の齢の年数だけ添い続けた数々のドラマがあり、それは宝物なのだとわかります。
このドラマは、ろう者のパパと、CODAの娘の、さまざまな手話会話も見どころの一つです。
今までのドラマでは、聞こえない人を囲む聴こえる人がテーマであることも多く、ろうの役の手話も、聞こえる人の文化に近い方法で訳されてきた傾向があります。
一般に、ネイティブの人も、周りが手話を勉強中の聴者ばかりであれば、聴こえる人にわかりやすい手話を選んで話してくれます。でなければテンポも何も違ってしまい、互いの楽しい会話の腰が折れてしまうからです。大汗笑(つまり、聞こえない人も、わたしたちに合わせながら、手話で話してくれているのですね。)
手話を学ぶ私たちも、聞こえない人と通じている!と思い込んでいたのに、いざ自分以外のネイティブ同士が話を始めると早いという以外に、あまり見たことのない表現も飛び出して、何が何だか分からず、ついていけなくなった・・という経験をされた方は多いかと思います。もちろん、私もその一人です。汗笑
今回、ドラマの中に出てくるのは、60代のろう者の父純介と、その友人などにも囲まれて過ごしたであろうCODA(聞こえない親を持つ、聞こえる子供)の静。コーダの中にも、いろんな人がいて、あまり手話を使わない人も、家族だけで通じ合う日常のサインを使っている人もいますが、今回の静は、父と同じように「ろう者の手話」を使う役柄です。
そんな中、この二人の手話は、本物のろう者である江副くんと、CODAのはせちゃんが、翻訳・指導してくれています。ドラマのセリフを、「ナチュラルな手話で、そして、このユーモラスなシーンを生かすには、どう表現すればいいのか?」そこに思いを注いで、1話ずつ翻訳が進められました。
だから、今回のドラマは、「ネイティブ同士が話す語彙」そして「テンポが良く、楽しく、手話講座などではあまり見かけない手話」が、いろいろ盛り込まれています。楽しいですね。
その中で私が、おっもしろっ!と思ったのは、「チョー、あったりめ〜」です。あ、でも、このチョーあったりめ〜という日本語も、私がそう当てているので、この日本語で何かを調べても、出てくるわけではありませんのでご注意ください。笑
さて、この手話、第4話で、圭一とパパのお弁当を作っている静が、パパに見つかりそうになり、パパが「美味しそう」と言ったのに答えた時の手話です。音声では「うまいよ〜!」と言っていますが、静ちゃんが表している手話は一般の「うまい」にあたる手話ではなく。「チョ〜 あったりめー!」です。
じゃ、これ何なんだ!?って話ですが、これは、「普通」「当たり前」という手話の、強調系として使われるもののようで、通常講座などで習う「親指を人差し指を使う手の形」を強調して、「親指のほか、残りの4指全部を使った」表現です。
「普通」「一般」「平等」「平均」(C)手話あいらんど
「当たり前」(C)手話あいらんど
「普通」「一般」「平等」「平均」「押し並べて」「当たり前」「ありきたり」などなど、この手話には、いろんな日本語が当てはめられます。文脈の流れで、場合により1回で表現したり、2回くらい表現したりします。
これの、すっごいヤツ!が、「チョ〜 あったりめー」。日本語に直訳すると、「当たり前じゃん」「言うまでもないわ」「当然すぎる」などの意味合いになるものと思います。
そう思って、この手話をみれば、「(お弁当が)うまいよ〜」と言うセリフにも、「あったりまえじゃん」と言う意味合いが含まれていることが見えてくるように思います。
圭一の弁当を隠したい静ですので、パパの目を「うまい」の方に引き付けておきたくて、この手話を選んだのかもしれません。笑
こう考えると、手話は、表に書かれている音声のセリフの裏に、どんな心情が流れているかによっても、変わってくるものだと言えるかもしれません。
こちらは、第7話、リビングでのパパと静の食事シーン。こちらも、圭一の話を聞きたくないパパと、話したい静。笑
以前パパが言った言葉を思い出して話す中、静がそれを「覚えてるよ!」と音声にします。その時の手話が「チョー 丸々完璧に あったりめ〜!」
チョ〜あったりめー!の最初に、「完全」「完璧」を意味するかのような、手のひらで上から大きく丸を描く表現も加えられ、さらに強調された表現になっています。
セリフは「覚えているのは、めっちゃ完璧に当然だよ!!」と言ったような意味合いになるのかもしれません。
ここも、もちろんやや父をほめすぎなのは、静の心情によるもの。パパを持ち上げときたいし、パンの中の柔らかい部分は、圭一のサンドイッチになっちゃってるし、話がそっちに向いて欲しくない静は、手話の選択もあやまりません。笑
ネイティブの自然さとユーモアあふれる手話が、溢れているのも、このドラマの魅力の一つだと感じます。