手話は忘れても、手話と出会ったことを忘れないでいること!!

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神奈川県の、保育士の卵のみなさんの短大の授業は、今月でおしまいです。
すっかり葉を落とした中庭の大もみじは、冬の晴れた空に、大きく手を伸ばしています。
周辺には、あちこちに花が咲き始め、どこからともなく良い香りが漂ってきますので、人間が春を感じられる日も、目の前に来ているように思います。

半年間の授業を終えた学生の皆さんには、毎回、「手話は忘れるもの。忘れていい。」とお伝えしています。笑
手話に限らず、言葉は、使わずにいれば、だんだん忘れてしまいます。
この手話の授業では、「技術」以上に、学生たちに忘れずにいてもらいたいものがあります。

それは、「手話という言葉がある」と知ってもらうこと。
「手話を知らなくても、物事を伝え合う手段はいっぱいある」と気づいてもらうこと。
手話は忘れても、「手話という授業があったこと」を覚えていてもらうこと。
「手話で話すのは楽しかったなあ」と思って卒業してもらうこと。

手話をさらに学びたいなあと思ったら、どこに相談に行けばいいか、理解しておいてもらうこと。
将来保育の現場で、聞こえない子どもや保護者の方に会ったとき、慌てなくても良い心構えを知っておいてもらうこと。
自分で通訳ができなくても、通訳者を、必要な時には、どこに依頼すればいいか知っておいてもらうこと。

みなさんには、手話がいかに上手くなるか、どれだけ知識が豊富になるかより、授業で得た、さまざまな出会いの手がかりを胸に、卒業していってもらいたいなあと思っています。
自分で書いたレポートやテストも、捨ててしまわず、大事に取っておいてもらうことを提案しています。授業や体験で、その場その時に、思ったこと気づいたことは、自分だけの、そして自分のための貴重な記録。近い将来、聞こえない人と出会ったとき、必ず役に立つと思います。その時には、授業の資料を取り出して、あらためて「ああこうだったなあ」とか、「こう言うこと自分で気づいていたな。忘れていたけどやってみよう。」なんて思って、使ってもらえれば素敵だなと思います。

毎回、年度の最後の授業は、講義形式ではなく、手話によるおしゃべりタイム。
みんなが卒業旅行で、行きたいところや、将来の仕事などについても、お話してもらいます。
今回も、みんなは、指文字も交えながら、少しずつ、いろんなことを話してくれました。

好きな食べ物は、ハンバーグ、プリン、ポテトサラダ、オムライス、お寿司、ふぐ、餃子、こんにゃく、豚カツ、アイスクリーム・・・なんとたくさんの表現を覚えたことでしょう。
行きたいところは、金沢。金箔入りアイスを食べたい。/大阪。ユニバに行く。お笑いを見に行く。たこ焼きを食べる。/京都で、着物体験をした。/北海道で美しい星空を見る。/群馬の温泉に行く。/沖縄の美しい海。/長崎、五島列島。/山形で美味しい玉こんにゃくを食べたい。。。。。などなど、みんなの話したいことが、次々、手から飛び出します。

始まったテレビドラマ「星降る夜に」についても、「吉高さんて、どんな人?」とか、「キス」ってこんな手話!とか、そんな話も、みんな色々尋ねてくれました。

みんな、わからなければ、素直に「わかりません」と手話が出せること。そして、手話がわからなくても、指文字でなんとかやってみること。そんな、のびのびした心も、溢れるように伝わってきました。そう!手話は、下手でも、わからなくてもいい!!まずは、遠慮などせず、楽しく話してみること。
それが、みんなの心に芽生えてくれれば、それが、この授業の修了!!です。


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みんなとの元気な、記念写真。素敵な笑顔で、「 I LOVE YOU」

新年度から、みんな、人生初の保育の現場に入っていくことになります。
学校で習ったことは、どれも、大事なことばかりではありますが、現場に出れば、それ以上にさまざまなことがあり、自分が選んだ仕事の中でこそ、また、新しい学びがあるはず!!人生、勉強はいつまでも続きます。
感染症もまだまだ落ち着かない日々ですが、みんなには、元気に社会人への第一歩を、踏み出してもらいたいと思います。心から応援しています。

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今週の、大もみじの枝には、鳩が一羽止まって、毛づくろいをしていました。
ハトちゃんが、みんなにハッピーをもたらしてくれますように。

みなさん、元気に卒業してくださいっ!
また、必ず、お会いしましょう