名取事務所「火の方舟(はこぶね)」舞台手話通訳 御礼

image/2024-07-31T223A403A10-4.jpg
舞台手話通訳。
今年の初夏は、東北大震災前夜の家族模様が描き出された、社会派演劇。下北沢の舞台の手話通訳をお預かりしました。

今回の通訳の位置は、演劇が行われるエリアの奥側。私たちも、舞台全体が目に入り、ストーリーについて行きやすい状況でした。
バックが黒いことから、全員トップスを薄いグレーのシャツに揃え、共通に出てくる地名や固有名詞なども、事前に打ち合わせをして、手話を揃えて本番に臨みました。

また、本番時の手話の位置の明るさが、聞こえない方にも見えやすいことは、必須条件です。暗転などのタイミングも、演出家や照明の方と、綿密に打ち合わせを行います。

image/2024-07-31T223A403A10-1.jpg
舞台作品に手話通訳をつけるということは、聞こえないお客様がお越しになり、受付を通過し、本番前のインフォメーションもご覧になるということ。
受付には、メモボードなどを置いて、筆談などでコミュニケーションができるよう準備をしてもらうこと。また、事前の飲み物やトイレ、避難誘導などの情報にも、手話通訳をつけています。

image/2024-07-31T223A453A09-1.jpg
舞台では、常に何人かの役者さんが演じておられます。誰のセリフをどんなふうに表現するか、ロールシフトなども重要なポイントになります。

image/2024-07-31T223A403A10-3.jpg
1時間半の舞台は、30分ごとにパートを分けて交代で行われました。

通訳者は、常に言語を置き換えて手を動かし続けているので、頭の中は、日本語と手話がフル稼働しています。疲労が蓄積すると、通訳者の手や肩が痛くなり健康を損なってしまうこともあります。また、疲れた状態の通訳は質が落ち、作品を見る聞こえない人に良質の情報が届けられなくなってしまいます。こうしたことを防ぐため、時間の長い作品は、交代で行ないます。

この日は、聞こえないお客様も来てくださり、私たちにも、励みになる舞台となりました。

演劇は、1作品ごとに、出演者も世界観も様々です。それらを背負って手で想いを伝える舞台通訳。
本番終了後、時に聞こえるお客様も「手話の魅力を初めて知った。私たちも感動をもらった。」とお声がけくださることがあります。手話がつくことで、聞こえる方々にも、その世界が豊かに届けられるのだと、感じます。
まだまだ、少ない分野の活動ですが、多くの方に見ていただきたいと思っています。
感謝。


IMG_6898.jpeg
ー・ー・ー・ー
名取事務所公演「火の方舟〜Ark of Fire」手話通訳公演
2024年6月
手話通訳:南 瑠霞・YASUKO・山本 悦子
ー・ー・ー・ー