変な翻訳しちゃだめ!!考えよう〜手話の歌のあり方!
(毎週見る、中庭の大もみじの木が、季節の移り変わりを教えてくれています。)
神奈川県の短大の授業。
学生たちは、名前や住所も表現できるようになり、わからないときは、指文字で尋ねられるようになってきました。喜!!
授業は、「手話の歌」へと進んでいます。
私たちの調べでは、手話の歌は、聞こえない人の半数が、嫌な思いをしています。
まず、歌そのものについても、「楽しい歌」「元気の出る歌」「明るい」などと説明されても、聞こえない人には通じにくいことが多く、聞こえる私たちは、「本当は聞こえない人が何を知りたいのか?」想像しづらいものです。聞こえる人は、聞こえている音楽を、あまりに当たり前に感じすぎて、つい「何が聞こえているのか?」を、無視していまいがちです。
最初に「前奏がある」のに、その説明をしない。その間無表情で立っていて、歌詞だけ手話をすれば、見ている聞こえない人は、歌が突然始まったように感じる。
「ブラスバンドの音が響いて、力強い」のに、その楽器の説明をしない。聞こえない人は、スピーカーしか見えていないのだから、どんな楽器の音がしているのか知らない。
「4拍子の歌」なのに、そんなこと気にもしない。聞こえない人に、どんなリズムなのか伝えるにはどうすればいいかなど考えもしない。
「女性が一人で歌っている」のに、「歌詞が聞こえる」と言ってしまう。聞こえない人は、質問する。「へえ、歌詞って聞こえるものなんだ。それは話し声?一人の声?男性の声?どれも同じに聞こえるの???」
聞こえる私たちが思っている「聞こえない」と、本当の「聞こえない」の間には、大きな違いがある。
互いの違いを知ってこそ、一緒にいることの意味が理解できる。
聞こえる私たちは、まず、自分たちの耳で「何を聞いているのか?」理解しよう。
手話の歌の授業は、そこから始まる。
(学内の植木たちが、冬の準備を整え始めています。)
そして、最も注意しなければいけないのは、歌の歌詞の手話翻訳。
聞こえる私たちが、聞こえてくる日本語に合わせて手話の単語を並べても、実は歌詞の意味は伝わっていないことが多い。
例えば、
「あなたが歌う」
「あなたに歌う」
「あなたと歌う」
これ、どう翻訳するだろうか。
「あなた」と「歌う」という手話単語を、並べただけでは、これらそれぞれの意味は、伝えられない。
単語だけを並べて、さも手話で歌っているように表現された手話の歌を見ると、聞こえない人は、「わからない・・・」という顔をする。。。
だってそれ、ちゃんと翻訳されていないから。
保育園や幼稚園の手話の歌は、良い意味でも、困った意味でも、もう止められないくらい広がっている。子供達も手遊びとして楽しんでいる。
だから!
保育士の卵の皆さんには、「将来、未来を背負う子どもたちに、そのような不思議な手話の歌を教えて欲しくない。」そのあたりについて、私の授業では、さまざまなディスカッションも繰り返している。
翻訳に、真面目に取り組まなかった変な手話歌は、ダメ。
みんなで考えよう。
